JAC幼児教育研究所

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押してもダメなら引いてみる

2008年5月27日 15:02

みんなの前で自己紹介をする機会があったり、体操で苦手な種目が出たりすると、やろうともしない子がいます。やりたくないことや苦手なことでも、まずは挑戦してみるという姿勢がとても大切なのですし、例え出来なくても、諦めないで頑張り続ける子になって欲しいと思うのですが、簡単なことではありません。すると、「先生、自己紹介はやっぱり必要なのでしょうか?」とか、「最低何回、縄跳びが跳べれば良いのですか?」、「前回りは絶対にできないとダメですか?」などと聞きに来るお母様がいらっしゃいます。「出来なくても受けられる学校はどこですか?」という質問も珍しくありません。入試にさえ出なければ、やりたくないことはやらなくて良いとお考えなのでしょうか。

私たちは小学校受験だけのために子育てをしているのではありません。人間の成長には、できないことをできるようになるために、苦手なものを克服するために、一体どのような努力をしたのか。結果以上に、そのプロセスが重要なはずです。

さて、嫌なことから逃げようとする我が子に、母親はなんとか取り組ませようと声を掛けます。想像するに、「どうしてやらないの」「みんな頑張っているのに、なぜ頑張れないの」「今やらないでいたら、入試のときだってできないのよ」...とまあ、こんな感じでしょうか。でも、こんなことを言い続けても、子どもはやる気にはなりません。にもかかわらず言い続けるということは、「出来そうもないことはすぐに諦める子。合格できない子」と洗脳しているようなもの。何事に対しても自信の持てない子になってしまい、仮に苦手分野が出なかったとしても合格することは難しくなってしまいます。

北風と太陽」の童話のように、子育てにも、「押してもダメなら引いてみる」視点が必要です。言っても言ってもダメなときは、そのまま言い続けるのではなく、「やるときはやる!ってこと、ちゃんとわかっているから大丈夫。」とか、「試験のときは、しっかり頑張れるものね。」といった声をかけながらチャンスを待つということも、ときには有効なのです。そんなことで本当に大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、「お母さんもそうだったけど、本番になるとなんだか力と勇気が湧いてきて出来ちゃうの。あなたにも、お母さんと同じ血が流れているんだから大丈夫。ちゃんとできるわよ。」などという、一見何の根拠もない話が子どもの心を動かし、流れを変えることだってあります。たとえ最後までやらないままに受験日を迎えたとしても、いざという場面で頑張れる可能性は高くなるのです。

今日頑張れない子に明日頑張れる保証を求めても無理ならば、せめて本番で頑張れる可能性を高めておこうと開き直る。母親の転換が、良い結果をもたらすのです。

ひとつお知らせがあります。

20年余りの小学校受験指導で感じてきたことや、半歩先行く子育て論などをまとめた、『子どもは、なぜ跳び箱を跳ばなければならないのか?』ー幼稚園児を持つ親必読の「ジャック式」教科書ーが、6月18日、小学館から出版されます。御期待ください!