JAC幼児教育研究所

HOME > ブログ > infantpark

ふりかえって・・・ひとりごと

2008年12月 5日 18:01

『 我が子へ 』   相田みつを  

歩幅に多少の差はあるけれど 一回に出せる足は だれでも一歩だ

一回に五歩も十歩も 出すわけにはゆかぬ

いま、ここ、の、一歩を 具体的に、しかも確実に出すことだ

この小さな一歩の連続が 富士山へもヒマラヤへも つづくんだから

その反対 ぼんやり過ごす一日 いいわけとぐちで 過ごす一日

その連続で日がくれる そういう人生もあるからな

一歩が大事 どんなに小さくても いま、ここ、の 具体的な一歩が大事

 

今年も残すところひと月となりました。幼稚園の入園試験もほぼ終了し、「ぼくは○○幼稚園」「私はね、△△幼稚園いくの」と、嬉しそうに話すお子様方がとても微笑ましいです。心からお祝い申し上げます。お母様方には、入園に向けての不安を取り除くために、準備しておくことや心構えを、これからの保護者会などでお話させていただこうと思っております。

この時期にこのようなお話をしていますと、ついつい我が娘のことを思い出してしまいます。 初めての子でしたので、子育ても育児書片手に無我夢中。育児書通りにいかないと、「え!なぜ?」「大丈夫?」の連続でした。幸い傍に母がおりましたので、何かあるとすぐ相談に乗ってもらえました。恵まれた環境と、支えになってくれた母には、本当に感謝しています。

幼稚園のことを具体的に考えるようになると、元来のめり込む性格にますます拍車がかかり、通える範囲の幼稚園の情報を集めてはノートにまとめたり、見学に行ったりしました。幼児教室にも通うことになり、その初日は、まるで入園試験を受けるかのように緊張しながら夫婦で娘を見送りました。『ちょっと寂しいけれど、きっと頑張るだろう、我が娘だもの!』。ところがお迎えに行きますと、娘の顔は涙と鼻水でくちゃくちゃ。決して大きいとは言えないその目はどこにあるのかわからないほど腫れ上がり、わざわざこの日のために購入したステキなワンピースはただの布切れのように見える始末。きっと泣いて暴れたのでしょう。本当にご迷惑をおかけしました。親の大きな期待とは相反して、娘は最初から最後まで泣き通しだったそう。見るも無残な姿に夫婦で落胆したのが、つい昨日のことのように思い出されます。もちろん当の本人はまったく覚えておらず、当時の話をしますと「へぇ、お母さんって熱心だったのねえ」と、まるで他人事のように笑っています。大波乱の幕開けとなった幼児教室ですが、まさかその後もしばらくこの状態が続くとは...。娘への期待と情けない現実の狭間での試行錯誤と心の葛藤が、限りなく続くかのように思えたあの頃。結局、小学校受験を視野に三年保育の幼稚園に入園させたいという思いに合った園を選び、受験することになったのですが...試験当日、我が娘の泣き声は大きく大きく、待合室にまで届くほど大きく、響き渡っておりました。

さて、時は流れ、娘は幼稚園にも慣れ、笑顔で通い始めました。その楽しそうな様子に、『この日を迎えるために、悩み多きあの日あの時があったのだ』と思いました。お友達と元気いっぱいに遊ぶ娘の姿に心からの幸せを感じ、いろいろなことへの感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。

 

人にはそれぞれに適した「時/とき」があるのだと思います。その「時/とき」を信じて努力し、一歩一歩進み、待つことが大切なのだと信じています。

 

文頭に相田みつをさんの『我が子へ』という詩を掲載せさせていただきました。悩んだり迷ったりしたとき、私は、相田みつをさんや金子みすずさんの詩を読みます。好きな詩はたくさんありますが、今回はひとつだけ紹介させていただきました。

 

 

橋本 恵利子

 

次回掲載は来年1月です。お楽しみに!!〜