JAC幼児教育研究所

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年中児にとっても今が大切 〜先んずれば人を制す〜

2008年9月10日 19:04

 小学校受験においては、いつから準備を始めれば合格できるという明確な基準がありません。中学受験ならば、一般的には4年生、遅くとも5年生から受験勉強を始めるのが普通で、6年生になってから始めたのでは、一流校への合格は難しいと言われています。記憶しなければならない事柄が膨大でとても1年間では対応しきれないことと、下地がしっかり出来ていないと積み上げていけないことが、その主な理由でしょう。
 しかし、小学校受験の場合には事情が違います。わずか半年で難関校に合格することも不可能ではありません。なぜなら、思考力は求められますが、(季節感や昔話などを除けば)前もって記憶しておいた知識はあまり求められないのが小学校受験だからです。もちろん、半年で難関校に合格するのは稀有なケースであり、そこには少なくとも以下の8つの条件が必要だと言えます。

1)人の話をしっかりと聞くことができる
2)負けず嫌いで、自分に自信がある
3)物怖じせず、初めての環境でも自分を出すことができる
4)どんなことにも、楽しみを見いだすことができる
5)集中力がある
6)躾がいきとどいている
7)本が好き
8)目標とする学校がはっきりしている

 ちなみに、これだけの条件が全て揃っているお子様は、30人に1人いるかどうかです。非常に高いハードルであることは言うまでもありません。大半は1〜2年かけて準備を重ね、必死でがんばって合格を手にしているのです。
 さて、ジャックでは、例年9月から10月にかけて、年中児向けのテストを実施しています。内容は、ペーパー(数・言語・話の記憶他)・運動・絵画・製作・面接・態度となっており、年齢相応レベルが出題されるので、少しの期間であっても準備をしてきたご両親にとっては、お子様がどのくらい理解して取り組んでいるかを確認する貴重なチャンスとなるでしょう。一方、まだ準備を始めていないご家庭は、「今受けても良い点数は期待できない」と躊躇される場合が多いものですが、このテストの目的は、未発達分野を早期に発見し早期に効果的な学習法を施すことにありますので、是非お受けになることをお勧めします。まだ何もしていないのだから得意も苦手も無いとお感じになられるかもしれませんが、それは違います。世の中には、経験が無くても出来るものもあれば、経験が豊富なのに出来ないものもあるのが現実です。ましてや幼児のテストの場合には、それまでの生活や遊びの中で培った能力によって対処できる分野も少なくありません。積み木やパズルの体験を活かせる「図形構成」しかり、絵本の読み聞かせに通じる「話の記憶」しかりです。さらに、1年後のライバルの状況を把握することも重要なポイントと言えるでしょう。スタートが遅かったからと、全てが後手に回ることだけは、絶対に避けなければいけません。
 小学校受験には、いつから始めれば必ず合格するという基準はありませんが、例年、もう半年早く始めていれば何とかなったのに・・・と、残念に思うご家庭が意外と多いのも事実。もともと徹夜で学習する体力が無い幼児には、短期決戦は不向きです。ある程度の期間をかけて無理なく準備をすることが大切なのです。小学校受験を1キロ先の駅に向かって歩くことに例えると、5分先に出た人を追い越すことがどれだけ大変か想像がつくと思います。私は、「先んずれば人を制す」という言葉の重みを、今改めて感じています。


≪追伸:年長児のお母様へ≫
今年も受験まで残り2ヶ月となりました。年長児にとっては、仕上げの大切な期間です。例年、思い通りに準備が進まない焦りから、「入試前はあまりやらせない方がいい」「塾の匂いを消した方がいい」といった、根も葉もない噂に踊らされてしまう方も少なくありません。しかし、何事も最初と最後が肝心です。これまで確保してきた家庭学習の時間を減らしたり、「ここまで来たら、まな板の上の鯉ね」などと悠長なことを言ったりしていないで、今まで通りに取り組んでください。ここで、変に手を抜けば今までの苦労が水の泡になることもあります。幼児が、「驚くほどの記憶力・呆れるほどの忘却力」の持ち主であることをどうか忘れないでください。
<2006年8月31日掲載文>


〜次回の掲載は9月25日(木)の予定です〜