ジャック合格特集 2021

理事の総括
Overview

来年への飛躍を目指して
2020年度入試の振り返り

ジャック幼児教育研究所
理事 大岡史直

今年の入試を振り返って
今思うこと

今年も、慶應義塾幼稚舎66名、慶應義塾横浜初等部45名、早稲田実業学校初等部55名(2020.12.16現在)をはじめ、たくさんの子ども達が希望校に合格しました。心よりお祝いを申し上げます。

入試期間がひと段落した今、実際に出題された入試問題を挙げながら、今年度の小学校入試を簡単に総括いたします。

01

全体として出願者数が増えた

新型コロナウイルス感染拡大(以下コロナ 禍)の影響でさまざまな変化が起き、結果として出願者数が増えました。

まず、多くの小学校で集団行動観察が実施されなかったり縮小されるなど入試形態が変更され、それに伴い考査時間が短くなり、併願できる範囲が広がりました。例えば横浜雙葉小学校は、例年お弁当持参で午前と午後にわたり5時間強の考査でしたが、今年はお弁当もなく、行動観察も実施されず試験は従来の約半分の2時間半で終了しました。その結果、青山学院横浜英和小学校や精華小学校などとの併願が可能になりました。

都内でも白百合学園小学校と雙葉小学校や聖心女子学院などの併願は例年できませんでしたが、白百合学園の試験時間が約1時間と短くなったことで午前中に2校を受験できたお子様もいらっしゃいました。

また、ウェブ出願の学校が増え、「出願してみなければ考査や面接の日時がわからないので、とりあえず願書だけは出しておこう」という考え方が広がったことも、出願者数の増加の一因となりました。

さらに、11月1日が日曜日だったため、青山学院や東洋英和などのプロテスタントの小学校は2日に入試を実施しました。(プロテスタント系の学校は日曜日には行事を実施しない)。昨年の出願者数が約300だった東洋英和女学院が、今年は約600と倍増したのは、その影響だと考えられます。また、入試日が分散したことにより11月1日に考査を実施した学校の倍率も上がり、全体として高倍率になりました。

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02

面接の形態と内容の変化

密を避ける、人との接触を減らすと言った観点から、面接にも変化が見られました。

雙葉小学校では、例年の両親とお子様による3者面接ではなく、お父様もしくはお母様のどちらかお一人とお子様による2者面接となりました。保護者から、「どちらと行った方が良いでしょうか」といった質問も受けましたが、迷った場合は、お子様との会話を通して良さを引き出せるのはどちらかという観点で考え、判断することをお勧めしました。

暁星小学校では、父親に「志望動機をお書きください」、母親には「メールやLINE等のSNSによる保護者間の交流について、どのようなメリット・デメリットがあるとお考えですか」というテーマで、それぞれ500字の作文を提出することが求められ、面接はお子様抜きで実施されました。

また、多くの学校で、予想通り
「コロナ禍のなか、ご家庭ではとのようにお過ごしでしたか」
「家にいた時間が長かったと思いますが、お子様の成長はいかがですか」
「コロナ禍で感じたことや、お考えや価値観が変わったことはありますか」
といった、コロナ禍や自粛生活に関連する質問がなされました。

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03

繰り上がりが少なく、回ってくるのが遅くなった補欠合格

慶應義塾、早稲田実業など、合格者数=定員数という学校もありますが、辞退者を想定して、定員よりも1~2割程度多めに合格者を出す学校も増えています。なかには、3割近く割り増しして合格者を出している学校もあり、一定数の辞退者があっても、補欠の1番ですらすぐに繰り上げ合格とはいかなくなりました。

一方で、慶應義塾横浜初等部の合格発表が11月28日だったので、そこから100名近くのお子様の辞退が始まり、2週間以上にわたって次から次へとその余波が波及したおかげで、クリスマス当日、志望校から素敵なプレゼントが届いたご家庭もありました。

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04

来年以降も続くか?

コロナ禍の影響で、考査の内容にも変更や工夫が見られました。

例えば、青山学院初等部では、個別テスト(対面テスト)からペーパーテストに変更されました。昨年まではカードや実物を用いて口頭で答えていた仲間探しや空間知覚などをペーパー化した問題が中心でしたので、初等部向けに準備してきた内容で十分に対応できたのは幸いでしたが、学校側がこの方法でも十分にお子様を選抜できると判断すれば、来年以降もこの形が続く可能性があります。

聖心女子学院初等科では、例年の共同での絵画製作などに代わって個別テストが行われました。個別テストならではの興味深い問題が出題されていたので、一部をご紹介します。

例題)蝶々3匹と花15本が描いてある紙が机の上にある。
テスター:「すべてのお花に蝶々が行くためには、蝶々1匹は何本のお花のところに行けばよいですか。指で数えてもいいし、クーピーで書いて考えてもいいですよ。わかったら、どうしてそのように考えたか説明してください」。

解説)大きく分けて2通りの解き方があります。
①3匹の蝶々がそれぞれ一本の花にとまることをイメージして、3本の花に線を引く。それを花がなくなるまで繰り返すと5本の線が引けるので、そこから「1匹が5本の花に行く」という答えを導き出す方法。
②花が何本あるのかを数え、15本とわかったところで、「5の塊が3つあるので、1匹が5本の花に行く」とする考え方。

特に①の解き方の場合、正答を導き出すことは安易にできても、どうして5になるのかという理由を説明することは意外に難しいものです。日頃から、機械的に線を引いて答えを出せたからと満足するのではなく、しっかりと理解させて進めていくことが、個別テストにも対応できる力を養うことにつながります。

また、質疑応答では、
「好きなお花は何ですか」
「お花をあげるとしたら誰にあげたいですか」
「今日はお母様の誕生日です。お母様にお花をプレゼントするためにお花屋さんに行ったら、お店がお休みでした。あなたならどうしますか」
と聞かれました。仮定の質問や、経験したことのない質問に答えることは、幼児にとって難しいものですが、転換的思考ができる子は、「違うお花屋さんに行く」「折り紙でお花を作ってプレゼントする」「お花じゃなくてケーキを買う」などと、その子なりの考えを絞り出して答えることができます。

当研究所には「聞き取り話し方」という授業があり、カリキュラムの一つに、「もしも、○○なことがあったらあなたはどうしますか?」といった「もしもクイズ」があります。今回の入試に近い問いで言えば、「もしも、お使いに行ってお金が足りなかったらあなたはどうしますか」でしょうか。子ども達からは、「一度家に帰ってお金をもらってまた行く」「カードで買う」「買えるだけ買う」「もっと安いお店に行く」「まけてもらう」「お金をくずしてもらう?」などなど、思わず笑ってしまうようなユニークな答えが続出です。日ごろからさまざまな経験をし、ご両親といろいろな会話をしているお子様ほど、思考の幅も広がります。授業はもちろんですが、ぜひ、日常生活でも何かを経験する機会や親子の会話を大切にしてください。

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05

製作のようで、重視しているのは行動観察?

暁星小学校では、コロナ対策の一環として、各自がカバンに入れて持参したクーピー12色、ハサミ、セロハンテープ、スティック糊を使って製作を行いました。まず、お手本と同じように公園を製作し、その後、先生が子どもの机まで行って、一人ひとりに、
「工夫したことや難しかったところはどこですか?」
「この公園で何をして遊びたいですか?」
といった質問をする形で、質疑応答が行われました。

さらに、「みんなの作ったものを見て回ってから、お友達の作品で良いものや、良かったところや、こうやったらもっと良くなるところがあればアドバイスしましょう」との声掛けがあり、その後、「発表できる人は、手を挙げて発表してください」と言われました。

聖書で言う「隣人を愛する」は、周りの人を認めることにもつながります。お友達の良い所をみつけて発表するという行為には、人に対する気遣い、日頃の親子の会話の様子などがよく現れます。学校側は、そこを見たかったのだと思われます。

なお、アドバイスをする場合には、「○○だと変だから…」などと否定から入るのではなく、「○○するともっとよくなる」のような肯定的な話し方をしたいものです。お子様の言動には、ご両親の姿が投影されますので、日頃から心してお子様と接していただきたいと思います。

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06

慶應義塾横浜初等部の対策はバランスが大事

月齢によって難易度が違うのが、慶応義塾横浜初等部のぺーパーの特徴です。一見容易そうに見えますが、一次のペーパーはあなどれません。

例えば点図形は、点が白いため、線がきちんと点の上を通っているのかがより鮮明にわかります。決して難しい図形ではないものの、時間設定が短いために時間内に終われないお子様も多かったようです。 

また、話の記憶は、どの月齢のお子様も、日常生活を切り取ったような短いお話を、絵を見ながら聞くので易しそうに感じますが、生活体験の有無を問われる内容になっていました。

例えばある月齢では、「(略)三人はお肉をこねて、タマゴを割って、玉ねぎを混ぜて、衣をつけて揚げました(略)」というお話の後で、「3人が作ったものは何でしょう?」と聞かれました。ここでメンチカツに印をつけるには、経験が必要です。

推理思考の問題では関係類推が出題され、例えば、
イヌ「僕は2番ではない」
ブタ「私の後ろには3人いたよ」
サル「僕はウサギの前だよ」
ウサギ「イヌのすぐ後ろだよ」
という4匹の発言から、順番を推理するという問題がありました。月齢によって難易度はずいぶんと違っており、高月齢では、「~ではない」という否定的な言い方が多く確定ポイントが少ない難しい問題が出題されていました。

今年の慶應義塾横浜初等部の1次のペーパーテストでは、月齢差はかなりあるものの、スピード、生活能力、聴く力、思考力が問われました。それだけにペーパー対策は必須で、さらに二次テストの製作力、表現力、体操をバランスよく準備することが大切です。

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07

入試で初めてiPad(タブレット端末)を使用した
慶應義塾幼稚舎

考査にタブレット端末を使用する学校も登場しました。

慶應義塾幼稚舎では、折り紙製作の手順を自由に再生し、確認できるよう、タブレット端末が使用されました。

埼玉のさとえ学園小学校では、ペーパーや製作の問題表示と音声の発問を、タブレット端末で行いました。

当研究所でも、昨年からiPad用のペーパー問題集アプリ「できましたっち!」(数量・図形・言葉 常識・推理思考)を配信しておりますが、取り組んでいるお子様を見ていると、何度かタブレット端末を触っているうちに自然と使いこなしており、幼児にとって難しい操作ではないと実感します。 

時間、試験官、座席といった諸条件に関わらず、すべての受験生に公平に見本を示すことができるという有用性を考えれば、今後も引き続きこうした機材が考査に使用されることは容易に予想されます。受験準備においても上手にタブレット端末などを取り入れて、「試験当日に初めて触れてワクワクして集中できない」とか、「なじみの無い機材に不安になってキョロキョロしてしまう」などといったことが無いようにしていきましょう。

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08

柔軟に対応する力を養うために

慶應義塾横浜初等部の二次試験の「製作」では、「折り紙」と「絵画」が出題されました。「折り紙」は、動画でお手本(折り方の説明あり)を見ながら一緒に折る課題と、お手本はなく口頭での説明を聞いただけで折る課題の二種類でした。折り紙が得意でも、いつも好きなものを自由に折っているお子様は苦戦しました。

当研究所では、年長児を対象に、初めての問題に対処する力を養う「応用自在」という授業を実施しています。これまで、折り方を見て覚えて折る課題や、出来上がったものを見て、折り方を推測して折る課題はカリキュラムに入れてきたのですが、お手本はなく口頭での説明を聞いただけで折るという課題を取り入れていなかったことが悔やまれます。

一方で、授業は、いわば一つの点に過ぎません。点と点の間、すなわち、授業と授業との間に、家庭学習という点をいくつも打つことによって、線としてつながります。そして、その線こそが、どんな問題にも柔軟に対応できる真の力になっていくのです。

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09

戦い終えて日が暮れて

思いもよらない1年になりました。

緊急事態宣言によって当研究所も4月、5月と授業が動画になり、模擬テストも思うように開催することが出来ないなど、異例づくしでしたが、こと小学校受験に関する限り、入試の形態を変更するなど学校ごとの工夫した対応に加え、受験者数もほとんどの学校で増加傾向がみられるなど、コロナの影響を最小限に抑えた入試が滞りなく行われました。

今年も多くの保護者と喜びを分かち合った一方で、3つの学校から補欠を頂いているほどの力を持ちながら、なかなか学校が決まらず気を揉んだご家庭もあります。ようやく進学先が決まり、ご挨拶にいらした際にそのお母様がおっしゃった、「たくさんの補欠より一つの合格」という言葉が、心に重く響きました。

ワクチン開発に拍車がかかる一方で、新型コロナウィルス感染症は未だ猛威を振るっており、事態の収束にはもう少し時間がかかりそうです。また、アフターコロナの世界がどのようになるのかも、未だ予想がつきません。しかしながら、私どもは、どのような事態になろうとも万全のサポートができるよう、進化し、前進していく覚悟です。来年度も、一人でも多くのご家庭と喜びを分かち合えるよう、指導者一同、これまで以上に精進してまいります。

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