JAC幼児教育研究所

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幼児の答案に空欄が多い理由

2018年6月7日 09:00

前向きな子どもに育てる、母親の言葉掛け

 

 学生と幼児の答案には、絶対的な違いがあります。学生の答案、とりわけ選択式の問題の場合には解答欄が全部埋まっていますが、幼児の場合は、選択式であるにもかかわらず空欄が目立つのです。なぜでしょう?

 一つは、”確率”の知識の影響です。小学校の高学年で確率を学ぶと、「何か書いておけば、もしかしたらあたるかもしれない」と考えるようになり、自信が無くても答えを書くようになりますが、幼児にはそれがないため、”あっているか間違っているかわからないけれど、とりあえず書いてみる”ということができないのです。

 さらに、子ども達と話していると、多くの子が『間違えるくらいなら、書かない方がいい』と思っていることに気づきます。空欄になっている問題について「答えがわからなかったの?」と聞くと、「これかなとは思ったんだけど、間違っていたら嫌だから書かなかった」と指差す絵が、実は正解という場合が非常に多いだけに、とても残念に思います。
以前に、「約束を破らない人は約束をしたことのない人」という言葉を聞いたことがありますが、「間違えない人は答えを書かない人」なんてことになったらそれこそ大変です。

 私は、多くの子がこんな風に考えるようになった原因は母親にあると思っています。もともと母親というものは、正解を誉めるよりも、不正解を叱ることにエネルギーを費やします。日頃から、子どもが間違えると、「どうしてこんな簡単な問題を間違えるの!」「あなた、本当にわかっているの?」「お母様のお話をちゃんと聞いているの?」「もっとしっかりしてちょうだい」などと、きつい言葉で叱ります。
ところが、空欄の場合にはちょっと勝手が違います。腹立たしさは同じなので、「どうして答えを書かなかったの?」と詰問するのですが、「時間が無くなっちゃった」と言われてしまうと、「もっと早くやりなさい」くらいしか掛ける言葉が見当たらないのでしょう。
しかし、子どもにとってはこの違いは大きなもの。これでは、迷ったときや自信がないとき、「間違えて怒られるよりも、書かない方がまし」と考えるようになってしまいます。実際、模擬試験のテスターをしていると、「はい、やめ」の合図があった途端、迷っている様子で解答を何も書いていないのにホッとした表情を見せる子すらいて、ハッとさせられます。

 先日ある母親が、「子どもに、『間違えたら落ちるわよ』と言ったところ、薬が効きすぎ、答えを書くのに慎重になりすぎて、時間がかかるようになってしまいました」と、しきりに反省していました。幼児は素直なので、母親の言葉をそのまま受け入れます。だからこそ、母親の言葉掛けはとても重要です。前述の母親も、「間違えたら落ちる」ではなく、「正解が多い子から合格する」と言えば、結果はかなり違っていただろうと思われます。
さらに、面接試験でも、普段の母親の言葉掛けは多大な影響を及ぼします。両親と一緒の入試が多いため、隣に座った母親が気になって消極的になったり、「練習通りに言わなければならない」とか「変なことを言ったら叱られる」というプレッシャーから黙り込んでしまったりする子は、珍しくありません。

 入試当日、間違えたくない一心で、書けば正解である答えまで空欄で終わらせてしまったり、テスターの前で萎縮したりして不合格になったのでは、悔やんでも悔やみきれないはずです。そうならないためにも、常に入試当日のことを念頭におき、適切な言葉を掛けて欲しいと思います。
 

 

〜次回の掲載は6月14日(木)の予定です〜

 

キーワード:小学校受験

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