2025.12.08 合格メソッド 学校選び 親子で準備

自ら選択肢を狭めないために—小学校受験での保護者の考え方

小学校受験は選択肢が限られる中で、保護者の考え方や志望校の絞り方が子どもの未来を左右します。本記事では、学校方針への順応や家庭の姿勢、志望校選びの整理方法、そして共学・別学の偏ったイメージを見直す重要性を具体例とともに解説します。

小学校受験で求められる保護者の姿勢と考え方

幼稚園受験に比べると、明らかに小学校受験の選択肢は広がると思います。とはいえ、それでも中学受験に比べると狭いです。さらに共学が良い、家から近い方が良い、無宗教が良いなどと言うと、どんどん自ら選択肢を狭く狭くしていくことになります。保護者から子どもに合った小学校を受験したいというフレーズを聞くことが良くあります。保護者が言っている子どもに合った学校というのは、子どもの性格、それから学校との相性を指していることが多いです。しかし、基本子どもはどの学校に入っても初めて小学校という場所に入るので、学校はこういう場所なんだと順応していきます。ただし、順応できるかどうかは保護者次第です。

小学校受験では子どもに合う学校選びよりも保護者の考え方に左右する

以前、こんなことがありました。ある小学生のお子様が、夜の10時近くまでずっと勉強をしていました。それを見たお母様は、「もうこんな時間だから早く寝なさい。」と言い、お子様は「いや、これは宿題だから明日までにやらなきゃいけないんだ。」と答えます。お母様は「でももうこんな時間だから」と言い、「とにかく明日学校に行って、先生に宿題をやって次の日に持っていきますと言えば先生も分かってくれるから。」とその場は寝ることにしました。
翌日、先生に「まだ終わっていません。今日やって持ってきます」と言ったところ、先生から「分かりました。ただ、今回は未提出ということになります。明日持ってくる必要はありません」と言われました。そのことをお母様に話すと、お母様は「随分厳しいのね。だったら親が手伝ってでも期日までに間に合わせるべきということかしら」と感じたそうです。
こうした場合、先生は「持ってきなさい」母親は「それはおかしい」と、間に挟まれた子どもは「どっちが正しいのだろう」と迷ってしまいます。

先生の対応は多少厳しく感じるかもしれませんが、自分でやり切ったものだとしても、宿題の提出が遅れることが許されるわけではありません。逆に言えば、保護者の方が甘かったということになります。保護者の考えが合わないと、「それはどうなの」と思ってしまい、子どもは迷ってしまいます。大切なのは、保護者が学校に合わせることができるかどうかです。先生から言われたことに対して「それはそうだね。やっぱり期日までに間に合わせるべきだったね。」と、保護者が間違っていたことを訂正し、学校に合わせる態度を見せることで、子どもが学校に合わないと感じることは決してないはずです。

小学校受験の志望校選びを方向性決める重要性

これから小学校受験の志望校を決める上で、今一度方向性を整理したほうが良いと考えます。例えば、慶應義塾横浜初等部や早稲田実業学校初等部の学校に入学させたいのか、それとも大学までの一貫校に入学させたいのか、もしくは中学受験を避けたいのか、あるいは学力をしっかりつけたいのか、まずは方向性を決めることです。

例えば、大学までの一貫校に入学させたい、その中で慶應義塾横浜初等部や早稲田実業学校初等部も視野に入れたい人や、とにかく慶應義塾横浜初等部や早稲田実業学校初等部に入学させたい人では、第2希望の小学校の選び方が変わってきます。慶應義塾横浜初等部や早稲田実業学校初等部に入学させたいのであれば、小学校から入学できなければ中学校からの入学も考えられます。その場合、第2希望として青山学院初等部や学習院初等科のような大学までの一貫校を選ぶのではなく、洗足学園小学校や横浜にある精華小学校のような学校を選ぶ方が自然です。公立の小学校に通い、慶應義塾中等部や早稲田中学校・高等学校のような中学校に合格するには、クラスで1番か2番、あるいは学年で上位数人に入らなければ、合格は非常に難しいでしょう。

実際の進学データと小学校受験の学校選びの現実

今回ご紹介する精華小学校や洗足学園小学校のデータは、洗足学園小学校から提供されたある年の「どの学校に何人入学しているか」という表を基に、精華小学校の入学者数を付け加えたものです。偏差値順に並べています。例えば男子の場合、精華小学校には56名が中学受験した人数として数えられます。すべて足すと44~45名のお子様が入学しているように見えますが、実際には44~45名が入学しているのではなく、1人のお子様が2つほどの学校に合格するケースがあるため、この年は実質的に22名のお子様が入学しています。筑波大学附属駒場中学校・高等学校の場合は合格した全員が入学していますが、それ以外の中学校では半分程度と考えてよいでしょう。つまり、56名中22名となると、約4割のお子様がこのレベルの中学校に入学していることになります。洗足学園小学校も同様の傾向です。公立小学校から慶應義塾中等部や早稲田中学校・高等学校レベルの中学校に合格するよりも、精華小学校や洗足学園小学校のような私立小学校に通い、成績が学年の上位4割に入り中学受験を合格する方が、明らかに容易で現実味があります。

このことから慶應義塾横浜初等部や早稲田実業学校初等部を目指す場合の第2希望は、精華小学校や洗足学園小学校のような私立小学校を選ぶことが本来良いはずです。もしも私立小学校を第2希望にしないのであれば、大学までの一貫校を目指したい、その中でも慶應義塾横浜初等部や早稲田実業学校初等部を目指す、という順序で考えないと、志望校の組み立てとしておかしくなってしまいます。

また、中学受験を避けたいと考えている方が私立小学校を受験したら可笑しいと感じるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。中学受験を避けたい場合でも、小学校受験で縁がなければ公立小学校に進学し、その後中学受験をすることになります。そのときに公立小学校から中学受験をするのと、私立小学校から中学受験をするのと、どちらが良いかは一目瞭然です。特に中学受験を考えたくないという方は私立小学校を受けないと思われるかもしれませんが、実際には第3希望や第4希望として選択肢に入ってくることも十分にあり得ます。しかし、人間というのは落ちてしまったこと、ダメだったことを考えながら志望校を選択するということはしたくありません。その結果、私立小学校を最初から見ないから情報が入ってこない、小学校受験しないという判断に繋がってしまいます。

以前、私が年中の頃から見ていた生徒の中に第1希望で慶應義塾横浜初等部を目指している子がいました。しかし、その子は現在すでに大学2年生ですが、慶應義塾横浜初等部は当初の予定よりも2年遅れて開校したため、小学校受験時には慶應横浜初等部の入試がありませんでした。その子は小学校受験の準備を続けていましたが、目標がなくなってしまったため、横浜にある精華小学校を受験し、筑波大学附属駒場中学校・高等学校に入学、その後現役で東京大学に進学しました。もし慶應義塾横浜初等部に入学していたら、その子なりの人生はまた違ったものになったかもしれませんが、精華小学校に入学した結果、そのような人生が待っていたということです。

小学校受験の男女別学校選びと広い視野の大切さ

女子についても同じことが言えます。女子校をあまり考えない方の多くは「共学の方が自然」や「娘は活発だから共学が合っているはず」といった理由を挙げたりするのですが、女子校の運動会を見に行くと、活発さは女子校も共学も関係ないことがよく分かります。女子の肩に乗って騎馬戦のような競技をして、帽子を取り合う姿を見ると、見ている方がヒヤヒヤするほどの活発な運動会を女子校でも行っています。例えば、中学校では桜蔭中学校・高等学校やフェリス女学院中学・高等学校、女子学院中学校・高等学校などの女子校、開成中学校・高等学校や麻布中学校 麻布高等学校のような男子校を中学受験したときに、不自然という考え方をするでしょうか。暁星小学校や立教小学校のような男子校は男子校の良さが、女子校は女子校の良さが、共学には共学の良さがあります。

近年はワーキングマザーも非常に増え、小学校の後にアフタースクールに通うお子様も増えています。別学に通っても、その後のアフタースクールは基本的に共学ですので、男子も女子もいます。「男子を知らない」「女子を知らない」といった心配はあまり必要ありません。習い事をすれば男子も女子もいます。そのため、視野を狭くしていくことの方が後で後悔するかもしれません。小学校受験なので、妥協する必要はないかと思いますが、より良い環境を探し選択する視点を持つことは、頑張っているお子様に対して保護者がするべきことだと私は考えています。

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