小学校受験に学力別クラスや選抜クラスは本当に必要なのでしょうか。本記事では、「小学校受験にクラス分けは必要?」という疑問について、55年にわたり小学校受験のパイオニアとして歩み続けてきたジャック幼児教育研究所がお答えします。幼児期ならではの発達の個人差や、小学校受験と中学校受験との違いを踏まえながら、お子様一人ひとりの力を伸ばすために大切な考え方や指導方針について、FAQ形式で分かりやすくご紹介します。
目次
小学校受験の対策クラスに学力別や選抜クラスは必要ですか?
難しい質問ですが、ペーパーの学力を話したいと思います。以下、お子様を4つのタイプに分けて考えてみたいと思います。
1.時間内にペーパーを解くことができるお子様
2.時間内には終わらないものの、最後まで解くことができるお子様
3.問題の意味は理解できるものの、解くことができないお子様
4.問題の意味そのものが分からないお子様
この中で4番目の「問題の意味が分からないお子様」はクラスを分けたほうが良いと考えます。
というのも問題の意味が分からないお子様には、発問を何度も繰り返して伝える必要があります。しかし、本来、発問は一度で聞き取ってほしいものです。
1〜3番のお子様は一度で聞き取れているにも関わらず、4番のお子様のために発問を繰り返すことは、1〜3番のお子様にとってマイナスになってしまいます。
一方で1〜3番のお子様を学力によって分けることは塾側の都合であって、生徒側にとってメリットはありません。
塾側の都合で小学校受験対策のクラスを分けることはあるのですか?
「塾側の都合」というより、塾側のメリットと言ったほうが分かりやすいかもしれません。
塾としてはクラスを分けることで、教えやすくなるというメリットがあります。また、「選抜クラス」などの名称を付けることで、他塾との差別化を図ることもできます。
中学校受験では学力別クラスが一般的ですが、小学校受験は違うのでしょうか?
中学校受験には偏差値があります。偏差値の高い学校を受験するほど、出題される問題も難しくなります。
一方、5〜6歳のお子様が受験する小学校受験では、極端に難しい問題を出題することができません。
例えば、難易度が高いと言われている慶應横浜初等部のペーパーであっても、必ずしも問題そのものが極端に難しいというわけではありません。つまり、小学校受験の問題には難易度の限界があります。
どのクラスであっても、小学校受験に必要なレベルまで教えることが大切です。そのため、お子様の学力によってクラス分けをする必要が小学校受験にはないということです。
また、多くの保護者は中学校受験を経験していますが、小学校受験を経験されている方はごく少数です。そのため、中学校受験の感覚で小学校受験を考えてしまうことがあります。
例えば、ある設問を1分で解けるより45秒、45秒より30秒で解けたほうが良いと思われるかもしれません。なぜそう思うのかというと、中学校受験では一定の制限時間の中で、自分が解けそうな問題を選びながら解き、解答率と正答率を高め、その掛け合わせによって点数が決まるからです。
一方、小学校受験では問題を順番に解いていきます。制限時間が1分であれば、1分ぎりぎりで終わったお子様も、45秒で終わったお子様も、30秒で終わったお子様も、時間内に終わっていれば結果は同じです。
早く終わったからといって、先の問題へ進めるわけではありません。そのため「早ければ早いほど良い」というものではないのです。
55年にわたり小学校受験のパイオニアとして歩み続けてきたジャック幼児教育研究所がお伝えしたいのは、幼児には月齢差があり、小学校受験の準備を始めた時期もそれぞれ異なるということです。だからこそ、いたずらに塾がクラス分けを行い、「君はできる子」「君は普通の子」という印象を保護者に与えてしまうことは大変不幸なことだと考えています。
小学校受験対策のクラス分けをしないと、ついていけないお子様はいませんか?
発達が未熟なお子様はいます。しかし、教える技術のある先生であれば、先ほど話した1〜3番タイプのお子様は、切磋琢磨しながら全員を引き上げていくことはできるはずです。
一方で、問題の意味そのものが分からないお子様や、そもそも学ぶ意欲が育っていないお子様については、別の対応が必要だと考えています。年少や年中のうちはそのようなお子様がいても珍しくありません。しかし、年長になっても「何のためにお教室へ来ているのか」が理解できていない場合は通常のクラスではなく、別メニューから始めることをおすすめします。
ジャック幼児教育研究所では、必ず体験レッスンを受けてからご入会いただいています。その中で、保護者の方が「我が子には授業のレベルが高すぎる」と感じた場合は、入会を見送るという判断も一つです。「頑張ればついていけそうだ」と感じられたのであれば、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
小学校受験対策のクラスにおける「別メニュー」とはどのような内容でしょうか?
保護者の方がご希望であれば、一定期間、個別で授業を行うということです。
基本的に幼児教室は集団で授業を行います。しかし、はじめは個別授業を行い、集中力や問題の意味を理解する力、そして1時間落ち着いて話を聞ける力を育て、そのような土台をつくってから、集団授業へ入っていくという方法です。
お子様一人ひとりの習熟度を見ながら、無理なく進めていくという内容が「別メニュー」です。
小学校受験対策のクラスでは、先生が授業する上で大切にしていることは何でしょうか?
大切にしていることはたくさんありますが、まず一番大切なのは一つひとつ段階を追って教えていくということです。当たり前のことのように思われるかもしれません。しかし、その当たり前のことができていなければ、それは幼児教育ではなくなってしまうと考えています。
例えば、立方体の積み木がいくつか組み合わさった図を見て、「ここにはいくつの積み木がありますか」という問題があるとします。このような問題では、「縦に数えましょう」と教えるだけでは十分ではありません。なぜ縦に数えるのか、その理由まで理解してもらうことが大切です。「1階、2階、3階、4階のビルが集まって、この形になっている」とイメージできるようなプリントや具体例を用いて説明します。そうすることで、「縦に数えると、見えない積み木まで数えることができるからなんだ」ということを、お子様自身が理解できるようになります。
また、「隠れている積み木」を数える問題でも、言葉の意味が伝わっていないお子様は少なくありません。「隠れている積み木」と聞くと、隠れんぼのように「何も見えないもの」をイメージし、「見えているじゃない」と考えてしまうお子様もいます。つまり、「見えている積み木の中に、見えない積み木が含まれている」という意味が理解できていないのです。
だからこそ、「隠れている積み木」という言葉の意味を説明し、実際に具体物を使って説明しながら理解を深めていく授業が大切だと考えています。もちろん、そのような説明をしなくても理解できるお子様はたくさんいます。しかし、その過程を省いてしまえば、それは幼児教育ではなくなってしまいます。
一方で、「丁寧に段階を追って教える」ということと、「子供が間違えないように教える」ということは違います。子供が間違えないようにヒントを出しすぎたり、簡単な問題ばかりを解かせて花丸をあげたりすることが、良い授業ではありません。
「間違えると子供のテンションが下がる」「勉強嫌いになる」と考えて、挑戦する機会を減らしてしまっては、高倍率の学校への合格は難しいでしょう。小学校受験対策の授業では、お子様が「できるか、できないか」のぎりぎりのラインを狙った授業をすることによって、お子様の力を引き上げることに繋がると考えています。
「おもしろキビシイ授業」とはどんな小学校受験対策のクラスですか?
そうです。「おもしろい」というのは冗談を言って笑わせるという意味ではありません。子供は勉強ができるようになることや「分かった」と実感できることで、勉強が楽しくなっていきます。楽しくできるようにするといっても、ただ易しい問題ができて喜ばせるのではありません。そのお子様に合ったレベルで、今の試験に必要な力を身につけられるよう、お子様の習熟度を見極めながら、難しすぎず、易しすぎず、「ここぐらいなら頑張ればできる」というぎりぎりの線を狙っていきます。それが、私にとっての良い授業だと考えています。
少し余談になりますが、例えば、英語がとても堪能な方と一緒に海外旅行へ行くと、「1か月も一緒にいれば英語が上達して帰ってこられる」と思われるかもしれません。しかし実際には、その人に任せきりになってしまい、思ったほど上達しないことがよくあります。
一方で、自分も英語は得意ではないけれど、自分以上に英語が苦手な人と旅行へ行くと、誰かに任せることができません。自分が頑張るしかないので、結果として1か月後には、その方が英語が上達していることがあります。
これはご家庭でも同じです。例えば、デジタル機器に強いお父様が何でも対応してしまうと、お母様は任せきりになり、苦手なままになってしまうことがあります。もちろん、お互いに教え合うことで二人とも得意になる場合もありますが、意外と「任せる人」と「任せられる人」に分かれてしまうことも少なくありません。
そういう意味では、私は「レベルの高い集団に入れば自信がつき、合格に近づく」とは思っていません。そもそも、「レベルが高い」という言葉は、ペーパーの学力だけを指している場合も少なくありません。
小学校受験ではペーパーがすべてではありません。ペーパーがそれほど得意ではなくても、絵を描くことが得意なお子様もいます。運動は苦手でも、製作が得意なお子様もいます。あるいは人と違ったユニークで面白い話ができるお子様もいます。そのような強みを一つでも持ち、自信をつけることで、急にさまざまな力が伸び始めるお子様もたくさんいます。いわゆる「合格曲線」に乗ってくるお子様です。だからこそ、お子様をペーパー力だけで判断してはいけないと思います。まず大切なのは、保護者の「やるぞ」という覚悟です。そして、お子様の今の習熟度をしっかり見極めた上で、そのお子様に合った小学校受験対策のお教室を選ぶことが何より大切だと考えています。



