「子どもの未来を支える理想の保護者」とはどのような存在なのでしょうか?この記事では、小学校受験や子育てにおいて重要な親の姿勢や心構えについてお話しします。子どもの自己肯定感を育むための言葉がけや、成長を支える前向きなコミュニケーションの秘訣をご紹介。日々の育児に悩む保護者の方々に向けた内容です。
目次
ヒントになる絵本『ついてるついてる』
小学校受験は、学校によっては倍率が10倍を超えることもあります。たとえ倍率が3倍であっても、3人に1人しか合格できません。そのため、保護者自身も「3人に1人の保護者」としてふさわしい存在になる必要があります。本日は、そのヒントになる絵本『ついてるついてる』をご紹介します。
あめが ふると おそとで あそべない。
やまないかなぁー。
そうだ てるてるぼうずを つくろう。
ティッシュを まるめて ひもで くるんと
もう できた。
わたしって てんさい。
なんだか あめが やんできた。
そらが あかるく なってきた。
もう はれた。
これって ついてるって こと?
こうなったら じっとは していられない。
こうえんに いって あそぼう。
だれが いるのか たのしみ たのしみ。
あっ にじだ。
やっぱり わたしは ついてる ついてる。
あっちにも こっちにも みずたまり。
みずたまりに はいりたいけど
よごれると ママに しかられる。
だから わたしは げんきよく ジャンプ!
ビチャ
おもったよりも
おおきな みずたまり だった。
やっぱり よごれた。
しかられるかも。
でも、おぼれなくて よかった。
ついてる ついてる。
こうえんには ねこしか いない。
みんなは どうしたんだろう?
「ねこちゃん あそぼう」
めがくるりとして かわいい。
わたしの めと
どちらが おおきいのかなぁ。
もっと ちかづいて
くらべて みよう。
ギャー ひっかいた。
なんて こと するの。ヒリヒリする。
きっと つめが のびて いたんだぁ。
でも とら じゃなくて よかった。
ついてる ついてる。
うんていに ちょうせん。
さる みたいに みぎ ひだり みぎ ひだり。
あれ とっても かんたん。
でも こんどは いちだん とばしで。
つるん どすん!
いたたたた。
あぁーびっくりした。
おしりも だんだん かわい てきたのに。
また おしりから おちる なんて。
でも あたまから じゃなくて よかった。
ついてる ついてる。
ちょっと
ベンチで ひとやすみ。
ん?
てに なにか とまっている。
ちいさな むし。
でも かわいくない。
なんだろう?
もしかして か?
とんでっちゃった。
さぁ おうちに かえろう
なんとなく かゆく なってきた。
やっぱり あれは か だったんだ。
でも か で よかった。
はち なら たいへん。
ついてる ついてる。
「カー カー」
からすが ないている。
すこし くらく なっちゃった。
いそいで かえろう。
からすさんも ママが しんぱい するから
はやく かえった ほうが いいですよ。
なんか あたまに おちてきた。なんだろう?
げっ! うんちだ。
もう どうして わたしの あたまの
うえに おとすの。
でも うんちで よかった。
かみなり だったら いまごろ こげてる。
やっぱり わたしは ついてる ついてる。
ただいまー。
「おかえりなさい おそかったわね」
うん。いろいろな ことが あってね。
「どうしたの? その かお?」
なんでもない なんでもない。
でも わたし とっても ついてたのよ。
「とても そんな ふうには みえないけど」
いいの いいの。
ちょっと くさいので おふろに はいりまーす。
あした もういちど うんていに ちょうせん しよ!
それから ねこちゃんと なかよくして・・・
ん?
なんで ぬれているんだろう?
あっ やっちゃった。
ど どうしよう。
あれ これって。
やっぱり わたしは ついてる ついてる。
ラッキー ラキラキ。
どうしたら前向きな子に育つか?を考える

いかがでしたか?実は私がこの絵本を書きました。これを読んだ子どもたちには「こういう子になりたい」「こうなれたらいいな」、保護者の方には「どうしたらこういう子に育つのか」を考えてほしいと思って書きました。
この絵本に登場する女の子には、実在する親子がモデルになっています。その子は学校の成績はあまり良くありませんが、自分を「できない子」だとは思っていません。また、テニスの試合に負けてもがっかりしないのです。それはなぜでしょうか?
その子が試合に負けたとき、お母さんが「試合はどうだった?」と聞くと、「負けた」と答えます。するとお母さんは、「そうなんだ。でも、あなたが負けたんじゃなくて、相手が勝ったのね」とさらりと言葉を返します。そして、「あなたは上手になっているから、次はきっと勝てるわよ!」と励ますのです。このように、お母さんから出る言葉が常に前向きなのです。
保護者の前向きな考えが成績に大きく影響する
小学校受験も、入試まであと半年という時期になると、成績が芳しくない保護者はつい、成績が良さそうな子どもの保護者に向かって「〇〇ちゃんはいいわよね。しっかりしていて、よくできるし、学校を受けるという自覚がある。それに比べてうちの子は幼くて、勉強しようと言っても『あとで』なんて言って、ちっともやってくれない。もうやんなっちゃう。」と言ってしまいます。いわゆる自分の子がやる気がないとかをどうしても言ってしまうんです。
どんなに準備が進んでいる保護者でも、不安はつきものです。なぜなら、今どんなに成績が良くても、半年後もその成績が維持される保証はないからです。入試当日、普段間違えないような問題を間違えるのも幼児ならではのことです。周りのお友だちがどんどん追い上げてくることもあります。どんなに早く準備をしても、年長の秋まではしてくれないわけです。
でも、この絵本のお母さんだったら、どんなにお子様が遅れていても、前向きな言葉しか言わないでしょう。「この半年は私たち家族の時間。娘の時間。待っていてちょうだい。今から追いつくから待っててね!追い越したらごめんなさい。」と。そして、その前向きな考え方を常にしているからこういう子どもに育つのです。
小さい頃から責任を学ぶことで成長する
この母親はものすごく前向きですが、厳しい時には厳しい姿勢を見せます。このお母さんは、子どもがカブトムシを飼いたいと言って、3匹の幼虫を育てると言った際、自分で世話をするよう約束させました。カブトムシの幼虫は土が乾かないように切り吹きでシュシュっとふりかけるお世話です。しかし、実際に世話を怠ったときには学校から呼び戻し、土が乾いたケースを見せて世話をさせたのです。 そのとき「お母さんのことを厳しいと思わないでね。世の中はもっと厳しいのよ。」と伝えました。小さい頃から覚悟を決めて育てているから子供も大人になった時にきっと楽なんだと思います。
子どもを信じる覚悟のある親が理想の保護者像
3人に1人の保護者とは、覚悟を持って望んでいる親のことです。子どもが思い通りに育たないことがあっても、前向きな言葉をかけ続ける保護者です。プリントを間違えた時に「聞いてなかったからできない」「考えてないからできない」ではなく「惜しかったね」「前よりできるようになったね」「次はきっとできるから!」と声をかけ、子どもの学力を引き上げていける保護者こそが、理想的なのだと思います。
点数が伸び悩むこともあります。前にできた問題ができなくなることだってあります。それでも子供の前で、「最近うちの子変なんです」なんてことを言ってくるあなたが変なんです。