『夏を制するものが小学校受験を制す』――。秋に本番を控える小学校受験において、夏休みはまさに運命の分かれ道です。朝の学習習慣の確立から、脳を活性化させる運動の重要性、そして本番を見据えた実践的な問題演習まで。お子様のやる気を引き出し、合格へと導くための「夏の過ごし方」と「学習の工夫」を具体的に解説します。親子の絆を深めながら、この夏を最大の飛躍のチャンスに変えましょう。
目次
夏を制するものが小学校受験を制す
「夏を制するものが小学校受験を制す」——小中高、大学も含めてよく使われる言葉ですが、小学校受験は夏が終わってすぐ秋に試験があります。まさに小学校受験のための言葉ではないかと思うほどです。
では、この夏に何をすべきか。いくつかのポイントに絞ってお話しします。
小学校受験のために朝型の生活リズムを整える
今は朝学習をしているお子様が多いと思います。ですが、朝が弱くて幼稚園や保育園から帰ってきた夕方や夜に勉強しているお子様もいらっしゃると思います。ただ、実際の小学校受験の入試では早い学校だと8時頃に受付が始まり、8時半頃にはもう試験が始まります。そのため朝モードに体を慣らしておくことも、この夏にすべきことの一つと言えるでしょう。
また、夏にぐっと伸びるお子様は、やはり規則正しい生活が身についているお子様です。保育園に通っているお子様は夏休みというものが特になく今までの延長線上ですが、幼稚園に通っているお子様は夏休みになると生活がガラっと変わります。睡眠不足になったり、運動不足になったりするお子様もいるかと思います。睡眠不足は早めに寝かしつければなんとかなりますが、問題は運動不足です。最近の夏は暑く、外で遊ぶことがぐっと減ります。幼稚園がなければ体を動かす機会も減り、夏はどうしても運動不足になりがちです。夏休みの前までは縄跳びを1分ほど跳べていたお子様が、夏が終わると30秒も跳べなくなっていた、ということも少なくありません。
夏は意識して運動する・体を動かすことが大切です。もちろん日中の暑い時間帯は難しいので、まずは朝です。お勉強の前に少し散歩をしてから学習に入る。その方が結果的に効率が良いのです。
有酸素運動をすると健康に良いとよく言われます。とある書籍に有酸素運動をするとBDNFという物質が分泌されると書かれていました。
植物を育てるために肥料が必要なように人間も脳を育てるための肥料が必要なのですが、BDNFという物質が脳の栄養として働き、神経細胞のネットワークを促してくれるのです。その脳の肥料を自分自身で作ることができるのが有酸素運動です。
つまり運動不足は脳の発達にとってマイナスとなり、脳を鍛えるためには運動が不可欠だということです。
夏に朝散歩をしてBDNFを分泌させ、脳の神経細胞を増やし、目をパチッと開いて学習に入る——そのような時間の使い方が理想的なのだと思っています。
小学校受験の入試問題よりも少し難しい問題に取り組む
夏休みの学習は、小学校受験をする学校に合わせた様々な準備をしていくことになると思います。さらにもう一つ加えるとするなら、入試に出題される問題よりも少し難しい問題に取り組むことをおすすめします。
実際の小学校受験の試験を受けた際に「この問題が易しい」と感じるためには、普段からそれよりも難しい問題をこなしておく必要があります。普段の練習が易しければ試験が難しく感じてしまう。普段の勉強が入試と同じレベルであれば何も感じない。逆に、少し難しい問題に取り組んでいるからこそ、試験を受けたときに易しいと感じられるのです。
ただし、難しすぎる問題は禁物です。小学校受験の試験まであと何ヶ月という時期に自信をなくしてしまっては意味がありませんし、無駄な時間を使うことにもなります。保護者の方が実際に受ける学校の出題内容をしっかりと把握して、どのレベルまで取り組むかを見極めてください。難しすぎる問題まで手を出す必要はありませんが、ある一定のレベルまでしっかり解いていく。そういった取り組みができるのも、この夏が最後の機会になります。
通常9月、10月になると、実際の入試レベルに合わせて問題を調整していくことになります。自信をつけ、スピードもつけ、どんどんこなしていく時期に入ります。小学校受験を控えたこの夏は、実際の入試よりも難しい問題に取り組む最後の時期です。ぜひ意識してみてください。
小学校受験本番を意識して時間を測って練習する
問題を解く際に時間を測って取り組む方法があります。ご家庭によっては「春ごろからずっと時間を測ってやっています」という方もいれば、「時間を測ると嫌がるので、ほとんど時間を測っていません」というご家庭もあるかもしれません。ただ、さすがに夏となればそうも言っていられません。
例えば1分30秒の制限時間を設けて、お子様が1分で解き終わったとします。そして残りの30秒で見直しをする——そのように時間を有効的に使う方法を学ぶためにも、時間を測ることが必要です。
もし時間を測っていなければ、問題が終わった段階で「終わったの?」「じゃあ見せて」となるか、終わってなければ2分でも3分でも時間かけてしまいます。それでは意味がありません。もう測るのが好きや嫌いと言っていられない時期になります。この夏は小学校受験に向けて、しっかり時間を測り、早く終われば見直しをすることを徹底しましょう。
また、幼児の問題では「左の絵と同じ絵を右の中から選びなさい」といった、選択肢の中から同図形を選ぶ出題傾向もあります。4つの中から正解を1つ見つける中で、2つ違うものがあると分かってるタイミングで「やめ」の声がかかったときに、残りの2択からどちらかをさっと選んで〇をつける——小学校受験において、この時期にそういった判断力を付けなければいけません。
丸を付けなければ不正解になるため、もし4つのうち2つまで絞れているなら、どちらかに丸を付けていれば2分の1の確率で正解することができます。しかし時間制限がなければそのまま迷い続けてしまい、早く選んで丸を付けることが身につきません。時間を測ることによって実践的な練習になります。
小学校受験の学習は「場所」を工夫する
家庭学習も大切ですが、学習の環境を工夫することも考えてみてください。
家ではあまり勉強をしたくないお子様でも、お教室では嫌がらない——そういうお子様はたくさんいます。理由の一つは、お教室の方が楽しく教えてもらえるからということもあるでしょう。ただもう一つの理由として、家にはおもちゃなど遊びたいものがたくさんある、お教室にはおもちゃがないからやるしかない、ということが挙げられます。勉強が嫌というより、勉強よりもしたいことがあって、家庭で勉強しにくいというお子様もいるかもしれません。では、そういうお子様はどこで勉強をすればよいでしょうか。
そのようなお子様にぜひ試していただきたいのが図書館です。
ご自身の学生時代を思い出してください。図書館で勉強するのは静かだからという理由もあるでしょう。しかしそれだけでなく、周りが勉強している環境だから自分も落ち着いて勉強ができるという理由もあります。これを「同期発火」と言います。周りがしていることによって、自分もその環境に身を置くことが自然と集中できる。これは幼児でも同じです。
また、ファミレスで勉強することもたまには良いかもしれません。お父様もお母様も、家で教えていると「違うでしょう!」「そうじゃないでしょう!「本当に分かってるの?」と熱くなってしまいがちですが、外だとぐっとこらえて冷静に教えられることがあります。また、「パフェが来るまでにあと2枚やろう」「食べ終わったらもう少しだけ頑張ろう」というように、注文がくるまでの時間に頑張って取り組むこともできます。(アイスクリームはどんどん溶けてしまうので、注文するものとしてはあまり向かないかもしれません)
場所を変えることによって、1日中同じ場所で勉強するよりも、午前中は比較的集中しやすいのでお家でやって、午後は図書館やファミレスを利用する、という使い分けもいいと思います。夏休みの1週間のうちの1日、2日、そういう工夫を取り入れてみると良いと思います。
小学校受験の仲間と一緒に学ぶ
最後にもう一つ、実践している方はあまり多くないかもしれませんが、ぜひ試していただきたいのが小学校受験するお友達との共同学習です。
同じ幼稚園や同じ塾に、家が近い小学校受験を控えたお友達がいれば、お互いの家を行き来しながら保護者の方が2人をまとめて教えるという方法があります。2人で学習すると子供は自然と競い合い、嫌がらずに取り組むことが多いものです。教える側も冷静に教えやすくなります。月・水・金はこちらのお宅、火・木・土はあちらのお宅というように交代すれば、お互いの負担も分散できます。下のお子様がいるご家庭には特に、取り組みやすい方法ではないでしょうか。
突然始めるのは難しくても、「夏休みの予定は?」「この期間はちょっとお出かけするの」というような会話の中から、「じゃあこの期間は順番にお互いのお家でお勉強しましょうね」という形で自然に始められるかもしれません。思いがけない効果が生まれることもありますので、ぜひ声をかけてみてください。



