慶應義塾幼稚舎や早稲田実業学校初等部といった高倍率の難関校が求める「光っている子」の正体とは?合格ラインに並ぶ「落ちる理由のない子」の中から、最後に選ばれる子供には一体何があるのでしょうか。欧米と日本の自己評価の違いから、日常の何気ない親子関係の中に隠された「選ばれる理由」の正体まで、受験指導の現場でのエピソードを交えて具体的にお話しします。
目次
小学校受験で合格するために必要な「受かる理由」
今回は「慶應義塾幼稚舎や早稲田実業学校初等部のような高倍率な学校が求めるお子様像」についてお話しします。
基本的に小学校受験というのは落ちる理由さえなければ合格しますが、今述べたような学校には落ちる理由がないのに合格できないお子様がたくさんいらっしゃいます。つまり、人気で高倍率な小学校に合格するためには「受かる理由」が求められます。
では、受かる理由とは何かを考えた時に、その子自身の魅力が必要なのではないでしょうか。さまざまな魅力の付け方がありますが、本日はその本質についてお話ししたいと思います。
日本と欧米の自己採点の違いから見える受験合格の要素
以前、テレビ番組で欧米人と日本人の若者が出てきて、自己採点をする場面がありました。
欧米人の若者は自分の長所などを並べて、どちらかというと自信に満ちた様子で点数をつけており、個人差はあるものの、全体として80点以上をつける傾向が見られました。
しかし、日本の若者は自分の容姿を芸能人と比べながら、自分の欠点を挙げて、40点にも満たないような点数をつける若者もいました。
これには謙虚や謙遜を美徳とする日本の文化もありますが、もしかするとテレビの演出といった要素もあったのかもしれません。
ですが、この差は一体何なのだろうかということをしばし考えてしまいました。その時に思い浮かんだのはよくある保護者の言葉です。
「〇〇ちゃんはあんなにちゃんと挨拶できるのに、あなたはどうしてできないの」
「あなたはどうして声が小さいの」
「もっと大きな声を出して。それでは相手に聞こえないでしょう」といった保護者の言葉を思い出しました。
周囲の子を引き合いに出したり、悪いところをストレートに指摘しながら欠点を直そうとする、ごく普通の子育ての風景だとは思います。
小さい頃からこうした言葉を受けて育つことで、次第に自分と他人を比較し欠点ばかりが気になる、そうした自信のない子供になってしまう可能性もあります。
受験合格につながる長所を伸ばし「もう一度会いたい」と思わせる力
一方で、欧米人には短所をなくすことよりも長所を伸ばすことによって、短所が目立たなくなる、あるいは多少の短所は長所によってカバーできる、そういった考え方を持っているのかもしれません。
どちらの子育てが良いかということを話すつもりはありませんが、小学校受験は苦手を克服して入試に臨むことが求められる学校と、長所を伸ばして勝負する学校に分かれると考えています。
つまり、苦手を克服して「普通」になったところで、それだけでは評価には繋がりにくく合格は難しいということです。それよりも、「長所を伸ばして得意なもので勝負する」という評価軸を持つ学校が確実に存在します。そのような学校に「どのような子が合格するのか」を尋ねると、教室の先生方から「光っているお子様」といったやや抽象的な表現が出てくることがあります。
では、その「光っている」とは何かを一言で表すと、「魅力」だと言えます。この「魅力」とは何かと考えたとき、私は「再び(もう一度)会いたいと思わせる力」だと思っています。学校側が「もう一度この子に会いたい」と感じたのであれば、それは小学校受験において合格に繋がる可能性が高いということです。なぜなら、不合格にしたらその子に再び会う機会はないからです。
小学校受験で評価される魅力ある子にするための第一歩「笑顔」
魅力ある子にするための第一歩として、私が大切だと考えるのは笑顔です。
大学の会場をお借りして学校別模擬テストなどを行っていると、お子様が20人、30人と並んで部屋を移動する廊下で、私は皆さんがどのように移動しているのかを見ていることがあります。
多くのお子様は私がいることに気づいていても、こちらを見ないですーっと通り過ぎていきます。きちんとしているといえばそうなのかもしれませんが、どこか寂しく、空気のような存在に感じてしまいます。
中には、一瞬こちらを見る子もいます。しかし、表情を一つ変えないで真っ直ぐ前を向いて歩いていきます。そこで魅力を感じるかどうかです。通る時に少し会釈をしたり、ふざけたりするのではなくニコッと笑ったりして、穏やかな表情を見せてくれる子がいます。そうすると、こちらもニコッと笑い返したくなります。テスト中なので「頑張ってね」と声は掛けませんが、心の中で「頑張れ」という気持ちでニコッと笑顔になります。
このような循環を繰り返すと、子供は「人とすれ違いにニコッと笑いかければ、相手も返してくれる」ということが分かり、好循環に繋がることで人に対して自然な笑顔ができる子になっていくと思います。
小学校受験において子供は保護者の「振る舞い」を見て育つ
多くの保護者は、お子様に「ちゃんと挨拶するのよ」と言い過ぎる傾向があります。
子供は「人と目が合ったら挨拶しなきゃいけない」というプレッシャーから、逆に目を合わせないようにしているのではないかとすら思います。また、保護者自身も子供が挨拶するかどうかを気にするあまり、自分が挨拶をしていなかったりすることもあります。担当の先生には挨拶をしてもそれ以外の先生とは普通にすれ違ってしまう、という姿を子供は見ています。子供は保護者が言ったようには育ちませんが、保護者がしているようには育ちます。
以前、慶應義塾幼稚舎に合格したお母様とお子様が教室へ挨拶に来られた際、ひとしきり話した後、「では、さようなら」と玄関先でお見送りしたときのことでした。お母様は挨拶をされた後、振り返って歩いていかれ、階段を降りて見えなくなる前にもう一度振り返って、会釈をしてから階段を降りていかれました。それを見ていたお子様も、同じようにこちらを見て「さようなら」と言って降りていきました。子供は保護者のそのような姿を見ているのです。
そしてそのお子様がまた何か月後かに来てくれました。
今度は階段ではなくエレベーターで降りていったのですが、エレベーターのドアが閉まっていくと通常であれば隙間から姿が見えなくなるはずです。しかし、ドアが閉まる瞬間の見えなくなる寸前まで、隙間から顔を出しながら見送ってくれました。その姿が本当に可愛らしく、学校側としては「こういう子に来てほしい」と思うような、自然な振る舞いができる子こそが「魅力的な子」なのだと思います。
自分を大切にできる子に成長することが受験合格に繋がる
冒頭の自己採点の話に戻りますが、将来、もしお子様が自己採点で90点をつけたならば、「よく言うわ。あなたが90点?」と呆れ顔をするのではなく、「あなたのどこが90点なの?100点よ!」と言える保護者に育てられたなら、お子様は周りと比べることをしなくなると思います。自分を愛し、そして自分を大切にできる魅力ある子に成長すると思います。



