「合否の伝え方」は、結果が出てから考えるのではなく、小学校受験の前に家族で方針を決めておくことが大切です。合格をどう伝えるか、不合格をどう受け止めさせるか――その対応一つで、子どもの安心感や次への姿勢は大きく変わります。本記事では、4つの伝え方のパターンと、それぞれに潜む親子への影響について解説します。
小学校受験では合否の伝え方を入試前に決めておきましょう
今回は「小学校受験の合否の伝え方は入試の前、結果が出る前に決めておきましょう。」という話をします。所謂、小学校受験の入試が始まる前、少なくとも結果が出る前には、お子様に対して合否の伝え方を決めておくことをお勧めしています。なぜならば、例えば結果が悪くて「結果を言うのを辞めよう」と思って、お子様が「この前の試験の結果はどうだったの?」と聞かれた時、「まだ分からないよ」と言っても、お子様はこの1年間色々な模擬テストを受けてきています。模擬テストの結果は、大体1週間ほどで結果が出ます。つまり、今まではテストを受けたら1週間後には結果が届く、ということをずっと繰り返してきたお子さまにとって、小学校受験の試験を受け終わってから結果が来ないというものは、お子さまにとって不安にさせるのではないかということです。結果が合格していても伝えないという方もいれば、不合格だから伝えないという方もいれば、色んなケースがあるとは思います。ですが、やはりお子様は保護者の言葉や表情、何かによって読み取ってしまうことがあります。そうしたことを避ける為には、「我が家はこうしよう」という方向を事前に決めておくことです。
小学校受験の合否の伝え方には4つのパターンがある
小学校受験の合否の伝え方には、大きく分けて4通りあると考えます。まず1つは、結果が来たらお子様に合格しても不合格であってもその都度伝えていく方法です。例えば、合格した内容を伝えることによって、お子様が勢いに乗ったり、自信に繋がることもあります。そして不合格を伝えることでお子様にとってプラスになることもあります。例えば、「今回はダメだったのよ。でも何かあった?」と聞くと、もしかしたらお子様が「少しゆっくりやってたから間に合わなかった。2枚めくったら、1枚多くめくったことに気がついて、すぐ戻ったのだけど間に合わなかった。」「先生からおしゃべりしてはいけませんよ。」と注意されてしまった。そのようにお子様は思い当たることを言うかもしれません。それを責めるのではなく、「あぁ、そういうことがあったのね。」 「まぁ、それはしょうがないね。」「でも、次回のテストはそういうことがないように気をつけようね。」と言って、仕切り直しができるということです。これもある意味必要なことなのかもしれません。お子様は上手くいかなかったということを知っている。だからきっと悪い結果が届くのだろうと思っている。でも保護者は結果を知っている。「分からない」「まだ分からないよ」と言ってもお子様はいずれ結果が届くことを思いながら、ずっとそのテスト期間を過ごすというのも、もしかしたら辛いお子様がいるかもしれません。
ただし、小学校受験の入試を終えた子が自信満々に出てきた場合、「どうだった?」「できた!全部できた!僕、受かってるよ!」「私大丈夫だと思う!」そうやって自信満々であったにも関わらず、結果が伴わない場合もあります。その場合、性格的なものもあるかもしれませんが、不合格ということに関してショックを受けるので言わないという選択もあるかと思います。そういう意味では、入試の前に決めておきましょう。しかしながら、例えば今の話のように入試が終わってから、お子様が「できた」とか「できない」ということを言ってから決めるというのは入試の前に決められないと思うかもしれません。しかしそうではありません。お子様がそのような様子を見せた場合には、言うのを辞めることを、予め決めておくことが大切です。
では2番目に、一般的かもしれませんが、「良ければ言う」「悪ければ言わない」という方法です。これも1つのやり方だと思います。現在、さまざまな幼稚園や保育園に通うお子様が小学校受験をしています。その中で私学を受験する方が多く、同じ学校を受けている方が周りにたくさんいる場合にお母様が言わなくても、お子様の方から「私受かった?」と聞いてくることもあります。その場合、お子様は「なんで私の結果は分からないのに、あの子の結果は分かっているのだろう。」と不安になります。その為、そのような場合「小学校受験の結果は届いているのだけど、うちに届くのは全ての結果が出てから届くようにお願いしているのよ。」というような話をお子様にすることも手段の1つです。もう1つは悪い結果であれば、保護者自身が当然がっかりする訳です。でもそのような態度をお子様に見せないで気丈に振る舞う演技力も求められるかもしれません。
そして3番目に、最後に全てのテストが終わってから「ここが受かった」「ここが残念だった」と話す方法もあります。その場合、例えば小学校受験の第1希望に近いところが丸で、逆に第2、第3希望は良くない結果の場合があるかもしれません。そのような場合は良いと思います。1番行きたいところに行けるので問題ないです。しかし、逆にそうではない場合に関して言うと、やはり希望順位が低いところに合格した場合は今までの努力、そして頑張りを最大限に賞賛しながら、お子様よりも保護者の気持ちを切り替えることが大事です。どのタイミングで伝えるのがよいのかというと、お父様やお母様ががっかりしている間に伝えると、お子様は結果で何か思うのではなく、お父様やお母様が今回の結果をどう思っているかでお子様の感じ方も決まってきます。その為、小学校受験では例えば保護者の方が「あそこの学校は良いところだね。素敵な学校に合格して良かったね。楽しみだね。」と本当にそのような気持ちで心から伝えられるタイミングの時に、「あそこの学校は残念だったけれど、でも、あそこで良かったね。」と、お子様にぜひ話してあげて欲しいと思います。
そして最後に、すべての結果が出た時に合格して通える学校だけを言う方もいれば、他のところも全て受かったことにしてしまって、その中で「ここを選びました。」という言い方をする方もいらっしゃるようです。不合格の学校は正確にいえば「伝えない」という話です。しかし、これはそれぞれのご家庭の考え方があるので、私がどうこう言うことではないと思いますが、私自身はあまりそういうことをお勧めしていません。それは多少無理のあるようなことであると思っています。例えば、ジャックの学校別クラスを取りながら、その学校のことを入ろうと思って頑張っていたお子様に「いろんな学校を合格したけど、でもここにしたよ。」と突然違う学校の名前を出す。そうすると、「あなたはこの学校が向いているから、この学校にしましょうね。」と第1希望ではない学校の名前を言われても、お子様が納得するのだろうかということです。ここまで親子で頑張ってきた小学校受験の結果をそのような形で最後までうやむやにして良いものかどうかということです。お子様だっていつまでも子どもではありません。どこかのタイミングで「あの時にあんな風に言って、この学校を選んだけど、でもおかしいな。」と思う時が私は必ず来ると思っています。そういう意味では、ご家庭の判断とはいえ、保護者の方から聞かれた時に私はあまりお勧めしていません。
小学校受験が終わったあとに見える、子どもの成長と保護者の役割
小学校受験が全て終わると、結果を伝えにご挨拶に来る方が多くいらっしゃいます。ある男の子が、今回の結果が思わしくありませんでしたが、それでも教室に来ました。恐らくお子様自身から私に何かを伝えさせようと思って、お母様が連れてきたのだと思います。内容的には「今度中学受験で頑張ります」ということを言わせたかったのだと思います。きっと練習もしてきたのでしょう。しかしながら、当日いらした時にはお子様がニコニコはしていたものの、あまり大きな声で挨拶もせずに「何か言うことあるんでしょ」とお母様から言われても何も言わないのです。母親は段々「このままではお時間もないのに、先生に無駄な時間を使わせてしまう」と思って、思わず「早くしなさい」と言います。それでもお子様は言わないのです。そしたら、ついにお母様は「あなたがいつでもそういう大事な時に挨拶もしない、ちゃんとお答えできない。だから、こういう結果になったんでしょう。」と言って急に怒り出したのです。そうしたところ、それを聞いたお子様が「小学校受験に落ちたぐらいでガタガタ言うなよ」というように母親に向かって啖呵を切ったのです。笑ってはいけないのですが、私はある意味「面白いな」「おかしいな」という気持ちを感じつつ、それ以上に感じたことは「この子は成長したな」と思ったのです。
私に最初会った時には、そのようなことを母親に向かって言えるような子ではありませんでした。言い方はともかくとして、その子はすでに前を向いているのです。どちらかというと、保護者の方が「こうだから受からなかった」「ああだから受からなかったのではないか」とまだ少し後ろを見ているのです。お子様が前を向いて進もうとしているのを保護者が応援する。そして、これだけ頑張ってきたものを認める。それが保護者の姿勢です。小学校受験の結果が良ければ幸せ、悪ければ不幸せ、悪い結果なら受験しなければ良かった、そのようなことはきっとないと思います。小学校受験というものをできることが幸せなことです。良ければ幸せで、悪ければ不幸せ、それでは幸せを他の人によって決められてしまいます。やはり自分の心が決めることだと思います。お子様がいい結果が出た時に「頑張ったからだ」ということはもちろんそうでしょう。でも、それ以上に頑張ったお子様がいるかもしれません。実はいるはずです。お子様はいつも以上に能力を持ち、そして頑張った。でもその当日に力を発揮することができなくて、合格という文字をもらえなかったお子様もいます。その為、「頑張ったから合格したんだ」なんて思うのは、ある種傲慢だと思います。小学校受験の結果を心の中で噛み砕いていくのかは、保護者の考え方次第だと思っています。

