小学校受験は限られた時間の中で挑む知恵の試験です。子どもは日々の生活や経験から自然に学び、成長とともに「分からなかったこと」が理解できる瞬間を迎えます。本記事では、小学校受験対策で無理に詰め込まず、成長を待ちながら力を引き出す家庭学習の工夫と、苦手意識を作らないための切り上げ方について具体例を交えて解説します。
目次
小学校受験で「できない問題」に出会った時の考え方

やってもやっても分からなかった小学校受験対策の問題を、数週間後、数ヶ月後にやらせると、すんなり理解してくれることがよくあります。人間は見たり聞いたり経験したことの中で、様々な事柄を自然に学び取って身に付けていく能力があります。
例えば、子どもはお風呂に入る時に水かさが上がったり、また出る時に下がったり、自然にそのようなことを見て学び、自然に覚えていきます。例えば、数の問題、形の問題で「大きい数から、または大きい形から考えなさい。その方がうまくできるわよ。」と言っても、中々その意味がよく分からない。でも、例えばスーパーに行って袋の中に買ったものを入れ込んでいく、そうするとやはり大きいものを先に入れて最後に小さいものを隙間に入れると、上手くビニールの中に全て入るということも経験しながら自然と学んでいきます。
子どもはそうした能力に長けていて、毎日の生活の中で沢山のことを学びながら、日々成長しています。赤ちゃんが「ハイハイをする」「つかまり立ちをする」そして「歩けるようになる」「言葉を覚えたりする」、できることや分かることがそのように自然に増えていく、というのが子どもなのです。それが小学校受験対策における家庭学習です。
無理に教え込むのは小学校受験合格への近道にならない
できないことや分からないことがあると「今日はこれが分かるようになるまでやるからね」などと言いながら、やってもやってもできないことを無理に教え込もうとする。それでは、かけた時間の割には芳ばしい結果が得られません。
小学校受験というのは非常に限られた時間の中での勝負なので、そのようなことで時間を使ってしまうのはとても勿体ないことです。冒頭でお伝えした通り「身近な話に置き換えたり、ヒントを出したりしても思うように理解してくれない」「15分やっても分からない」「30分やっても埒が明かない」そういうことを続けていると、やはり入試問題への苦手意識を持たせてしまうことになります。
そのような時は、思い切ってさっと切り上げて「これはまだ理解できていない」という風に、保護者の方が「ここはまだ分かっていないぞ」というチェックをしたあと、時期を見計らって再びやらせる、タイミングを見てもう一度するということです。それが小学校受験合格への近道です。
「分からない」で終わらせない工夫が小学校受験合格につながる
大事なのは切り上げるときに「分からないんだ、じゃあまた今度やりましょう」「できないの、じゃあまた今度ね」、この「できない・分からないからやめる」という悪いイメージを持たせないことが小学校受験対策においては重要です。
大事なのは切り上げるときに「分からないんだ、じゃあまた今度やりましょう」「できないの、じゃあまた今度ね」、この「できない・分からないからやめる」という悪いイメージを持たせないことが小学校受験対策においては重要です。
例えば、運動に置き換えた場合に、跳び箱ですぐに跳べる子もいます。それから、跳べてなくはないけれど、まだ最後にお尻が少しつくような跳び方、全くまだ跳べない、そういう色々な子がいるでしょう。
では仮に全く跳べていない子に「跳べた!」と言うのは中々難しい話です。お子様も信じてはくれないでしょう。しかし、少しお尻がついてしまったような子に対して「もうちょっとで跳べたね。惜しかったね。まだ跳べてないんだけど、頑張れば跳べるよ。」とまだ跳べていないことにして授業が終わるのか。それとも「おぉ、跳べた!跳べた!もう今跳べてるよ!」と跳べたことにしてしまうのかという選択になります。
考え方として、もし1か月後に跳び箱をした時に「跳べたことにしてしまった子」と「もうちょっとだったけど、まだ跳べていないという子」どちらの方が跳べる可能性が高いかということです。これはもう跳べたことにしてしまった方が可能性が高いということは、少し考えていただければわかることだと思います。
小学校受験対策に必要なのは「頑張りすぎない勇気」
小学校受験は知恵が試される試験です。日々の生活の中に入り込んでいる内容も多いので、今分からなくても成長によってすんなり理解できることはよくあることです。
やらなければならないことが他にも沢山あるので、「できることをやりながら、分かる時期まで待つ」というのも小学校受験に向けた学習方法の一つです。
小学校受験というのは時間との戦いです。頑張りすぎない勇気、後回しにする勇気を持つことも合格へ近づくために重要です。