トランプを使って遊びながら、数の合成や分解の力を鍛える方法をご紹介します。通常のトランプとは異なり、数字の書かれていない特別なトランプを使うことで、子どもが自然と数の仕組みを理解できる工夫がされています。さらに、カードの並べ方や組み合わせを考えることで、論理的思考力も養われます。遊び感覚で楽しみながら、算数の基礎をしっかり身につけられるトランプ学習法を、ぜひご家庭で試してみてください。
目次
ジャックのオリジナルトランプで数の感覚を磨く

今回は、ジャックのオリジナルトランプについてお話しします。
まず、通常のトランプとジャックのオリジナルトランプを比べると、大きさが違います。ジャックのトランプは通常のものよりも二回りほど小さく、お子様が持ちやすいサイズになっています。

最大の特徴は通常のトランプには数字が書かれていますが、ジャックのトランプには数字が書かれていない点です。そのため、お子様自身がマークの数を数える必要があります。最初のうちはマークを見て「1、2、3、4…」と数えるかもしれませんが、慣れてくると「3+3+3=合計9」と数えることができるようになります。
また、カードのマークの配置にも特徴があります。例えば、ハートの9の場合は上の6つのマークは上向き、下の3つは下向きになっていて、「6+3=合計9」と分かるようになったりします。同じ数字のスペードのカードでは「(4+4)+1=合計9」といったように見ることもできます。別の見方で上と下を見ると、「5+4」の組み合わせにもなります。「5+4=合計9、8+1=合計9、3+3+3=合計9、6+3=合計9」、トランプをしながら同じ「9」であっても数の合成や組み合わせを考えながら数えることができるようになります。
このような配置の違いに気づくことで、数の感覚がより磨かれていきます。
数の理解を深める方法:引いたカードから並べていくゲーム
さらに、トランプを使った遊びを通じて、数の理解を深める方法を紹介します。

例えば、ダイヤ・スペード・ハート・クローバーの「1」のカードを縦に並べておきます。お子様にカードを引いてもらい、出てきたものから数を置いていきます。「クローバーの3」のカードが出たら、「2」のカードの場所を1枚分空けて置きます。同様に、「スペードの2」のカードがでてきたら、「1」のカードの隣に置きます。

「スペードの4」のカードが出たら、「3」の列を確認したり、「2、3」と2枚分の場所を数えてスペースを空けて、考えながら配置します。

「ハートの9」のカードが出た場合も、「10」がどこに来るか分からない中で大まかな場所に置き、狭ければ広く、広すぎたら狭く、スペースを調整しながら並べていきます。次に「ハートの7」のカードが出てきたら、「9、8」と1枚分のスペースを空けながら置いていきます。
このように、「1、2、3、4…」と順番に並べるのではなく、出てきたものから置いていきます。そうすることでお子様は、小さい数が出てきたらはじめに置いた「1」のカードに目がいくか、大きい数が出てきたら数の多い方に目が行くか、置くときに1枚分のスペースを空けながら置いたり、場合によっては2枚分のスペースを空けたりすることもあります。
状況を見ながらスペースを空けて適切な場所に置いていくことで、数の感覚を養うことができます。
数の理解を深める方法:合計の数が同じになるゲーム
次に、トランプを使った別の遊びとして、「合計6」にする遊びを紹介します。

1から6までのカードを集め、7から10のカードを除いておきます。そして、カードを裏向きのまま1枚ずつ引いていきます。
「6」のカードが出た場合、次に引いた「4」のカードを上に重ねます。「2」のカードが出たら横に置きます。そして2枚合わせて「合計6」になったら、この2枚のカードの上に次に引いたカードを重ねます。引いたカードのうち、1枚目が「6」が出てきたときはもう1枚カードを引いて「5」のカードを1枚重ねます。

「5」のカードと隣の「5」のカードが「合計6」にならないので、横にもう2枚、「4」「4」のカードを並べます。その下にも3枚、「3」「3」「1」のカードを並べて、合計7枚のカードを並べます。並べた「1」「5」のカード、どちらでも構わないので、2枚組み合わせて「合計6」になったところにカードを重ねます。次に「3」「3」のカードにも重ねます。カードを引いて並べている時に気付かなくても、後から気付いても大丈夫です。

「6」「4+2」「5+1」といったように2枚組み合わせて「合計6」になるところを見つけたら、重ねていきます。最後に「3+3」のカードにも重ねて置いたところで、手持ちのカードがなくなりました。終わったら今度はこの中で「合計6」になっているカードを取り除いていきます。「6」「4+2」「5+1」「5+1」のカードを取ります。つまり、1から6までのカードを24枚使って置いていきます。「6」のカードは1枚だけ、「5+1」「4+2」「3+3」のように2枚組み合わせて「合計6」になるところを見つけます。見つけたところから、2枚のカードの上に重ねていきます。

そして、すべてのカードを置き終わったら、今度は「合計6」のペアになっているカードを取り除いていきます。正しく行えば、すべてのカードが綺麗になくなるはずです。
ちょっとした仕掛けを加えてゲームに、遊びながら家庭学習してみよう
この遊びは、6だけでなく、7といった他の数でも応用できます。

例えば、サイコロの上と下、右と左、前と後ろを合わせると「合計7」になるので、1から7までのカードを使って「合計7」のルールに変更できます。また、絵札を除いた1から10のカード、40枚を使って「合計10」にする遊びも可能です。
その時にちょっとした仕掛けを加えます。ゲームを始める前に、あらかじめ1枚のカードを隠しておきます。

そして、通常通りカードをめくっていき、「合計10」のペアが見つかれば上に重ねます。例えば「7」「8」のカードが出たら「合計10」にならないので、横に1枚カードを並べます。「10」のカードが出たときはその上に重ねます。次に引いたカードも「10」が出たので上に重ねます。続けて引くと「7」のカードが出ましたが、「7」「8」「7」のカードを合わせても「合計10」にならないので、横に並べていきます。
「合計10」になるまで、どんどんカードを並べていきます。9枚目のカードを並べたところで全体を見ると、「3+7」「6+4」の組み合わせで「合計10」になるカードがありました。気付かずに続けても構いませんし、途中で気付いて重ねても大丈夫です。「8+2」「7+3」「5+5」の組み合わせで「合計10」になるところに重ねていきます。「10」のカードのときは1枚上に重ねます。「6+4」のところにも重ねましょう。「合計10」になるカードがなければ、また横に並べていきます。「7+3」「8+2」「9+1」「9+1」…と、並べたカードのうち2枚で「合計10」のカードの上に重ねていきます。


手持ちが残り2枚のカードになったとき、ちょうど2枚のカードが置けると良いのですが、1枚だけ手元に残ってしまう場合があります。そのときは2枚で「合計10」になるカードがあって両方に置けないので、横に並べてください。いまの手元には2枚あるので「6」「4」のカードの上に重ねます。
手元のカードがなくなったら、今度は「合計10」になるカードを取っていきます。


「9+1」「8+2」「5+5」「7+3」「8+2」…と続けると、「6」のカードが1枚だけ残りました。隠しておいたカードを表にすると「4」のカードが出てきて、残り1枚のカードになるとき隠しておいたカードの数字が分かるという遊びです。
この仕掛けを使うと、お子様にとって、とても面白い遊びになります。

