絵本紹介絵本紹介

ちょっとだけ(年少)

ちょっとだけ(年少)

作 瀧村有子       
絵 鈴木永子 
福音館書店

あらすじ:赤ちゃんが生まれて、お母さんは忙しいので、なっちゃんはいろんなことを自分ひとりでやってみます。

赤ちゃんがやってきて、お姉ちゃんになった、なっちゃん。
お買い物に行く時は、赤ちゃんを抱いているママと手をつなげないから、“ちょっとだけ”ママのスカートをつかんで歩きます。
喉が渇いて牛乳が飲みたいときも、夜パジャマに着替えるときも、朝髪の毛を結ぶときも、それから、公園に行くときも、ママはいつも忙しそう。だから、なっちゃんは、自分でなんとかやってみます。公園から帰って、眠くなってきたなっちゃん。「もうおねえちゃんだから おひるねしないもん」とがんばってみたけれど、だんだん目が閉じてきちゃう。眠い目をこすりながら、なっちゃんはママに言います。
「ママ、“ちょっとだけ”だっこして…」するとママは優しく笑って、
「“ちょっとだけ”じゃなくて、いっぱいだっこしたいんですけど、 いいですか?」。
「いいですよ!」
と、にっこり笑ったなっちゃん。ママの匂いをいっばいかぎながら、いっばいだっこしてもらいました。

評:最近お姉ちゃんになったお子さんや、もうすぐお姉ちゃんになるお子さんに読んであげてほしい絵本です。

なっちゃんの心の中にあるのは、赤ちゃんがやってきた嬉しさと、お姉ちゃんになった誇らしさ。だから、なっちゃんは精一杯頑張って、ちょっとずつちょっとずつ、お姉ちゃんになっていきます。そんななっちゃんに、子ども達は「偉いなぁ」と感心したり、「自分もそうなろう」と思ったりするかもしれません。
でも、実はなっちゃんの心はちょっと複雑。それが垣間見られるシーンが、公園へ行く途中、お友達のお母さんに、「赤ちゃん、かわいいでしょう?」と言われたときです。ちょっとだけうなづいたなっちゃんの姿に、 ドキッとするお母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
「“ちょっとだけ”だっこして」と遠慮がちに言うなっちゃんを、「いっぱい抱っこしたいんですけど…」と、大きな優しさで包み込むママ。
「いいですよ!」と言ったなっちゃんの最高の笑顔が、心に残りました。 女の子、特に、最近お姉ちゃんになったお子さんや、もうすぐお姉ちゃんになるお子さんには、ぜひ、読んであげて下さい。