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よるくま(年少)

よるくま(年少)

作 酒井駒子
偕成社

あらすじ: 男の子と”よるくま”の夜の冒険が始まります

ベッドに入った男の子が、おかあさんに話します。
「ママ、あのね、きのうのよる、うんとよなかに、かわいいこがきたんだよ」。
その子の名は“よるくま”。目が覚めたらいなくなっていたおかあさんを探して、“ぼく”の家まで来たのです。かわいそうに思った“ぼく”は、一緒に探しに出ることに。
はちみつ屋さんや公園、“よるくま”の家にも行ったけど、おかあさんはみつからない。「おかあさんは?おかあさんは?」そう言いながら、泣きだしてしまう“よるくま”。夜みたいに真っ暗な涙で、まわりも真っ暗になってしまいます。
と、流れ星が飛んできて…。
実は、流れ星だと思ったのは、お魚釣りのお仕事に出ていた“よるくま”のおかあさんの釣り糸。ようやくおかあさんに会えた“よるくま”は、“ぼく”と一緒に眠りにつくのでした。

評:子どもならではの望みがいっぱい叶えられた絵本です

イラストレーターとしても人気のある酒井駒子さんの、絵本作家としての出世作。パジャマ姿のかわいい“ぼく”と、謎の動物“よるくま”との不思議な冒険物語の世界では、「可愛い動物とお友達になりたい。」とか、「不思議な冒険に行ってみたい。」といった、子どもならではの望みがいっぱい叶えられていて、子ども達はスーツと引き込まれていきます。ストーリーテラーは“ぼく”で、聞き手はママと言う構図にも、多くの子どもが魅かれることでしょう。
実はこのお話、単なる冒険ファンタジーではありません。“よるくま” のおかあさんは、“よるくま”を寝かしつけてから、お仕事に出ていた。 つまり、働くおかあさんへの応援歌にもなっているのです。
丁寧に愛らしく描かれた“よるくま”のしぐさや表情は、まるで生きているかのよう。色遣いもオシャレな、とても素敵な絵本です。

【参考】
『よるくま クリスマスのまえのよる』