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あやちゃんのうまれたひ(年長)

あやちゃんのうまれたひ(年長)

作 浜田桂子
福音館書店

あらすじ: お母さんは”あやちゃん”が生まれた時のことを話してくれます

6 歳の誕生日を前に、「生まれたときね、ちっちゃかった?」「かわいかった?」と聞く“あやちゃん”。夕食の支度をしていたママは、“あやちゃん”が生まれた時の話を始めます。
カレンダーに印を付けて、ずっと待っていたこと。けれど、“あやちゃん”はなかなか出てこなかったこと。待ちきれなくなったパパが、 お腹に向かって、「起きろ、起きろ、眠ってないで、早く起きろ」と大きな声で言ったこと。おばあちゃんも、おじいちゃんも、みんながとっても楽しみにして、待っていたこと。ある晩、眠っていたママに、 赤ちゃんの小さな声が聞こえたこと。慌てたパパが、パジャマのままで病院へ行こうとしたこと。ピンク色に光る赤ちゃんと初めて会ったとき、胸がいっばいで涙がこぼれた。おとうさんもおばあちゃんもおじいちゃんも、とっても嬉しかったこと、喜んだこと。
お話を聞いていた“あやちゃん”は、嬉しくなって、ママの腕にしがみつき、甘えるのでした。

評:“あやちゃん”がどんなに望まれて生まれてきたのかが、ストレートに語られた絵本

子どもには、親に愛されていると実感したくなるときがあります。 例えば、叱られたとき。例えば、離れていたとき。弟や妹が生まれたときは尚更です。自分は愛されていないのではないか、自分はいらないのではないか、そんな不安が心に芽生えます。ある程度の年齢になって、そんなことがないことを頭ではわかっていても、心にすきま風が吹いたように寂しくて、愛されているのだと確認したくなるのです。 この「あやちゃんのうまれたひ」は、“あやちゃん”がどんなに望まれて生まれてきたのかが、ストレートに語られた絵本です。子ども達は、“あやちゃん”の誕生を待つお父さんやお母さん、おばあちゃん、おじいちゃんの姿に周囲の大人を重ね合わせ、新鮮な驚きを感じると同時に、自分も同じように愛されて生まれてきたのだという満足感を得ることができるのです。優しいタッチのほのぼのとしたイラストも、安心感を呼び、好感が持てます。
この絵本を読んだ後、「あなたが生まれたときはね」と、お子さんが生まれたときのことをぜひ話してあげてください。