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だってだっての おばあさん (年長)

だってだっての おばあさん (年長)

作・絵  佐野洋子
フレーベル館

あらすじ: おばあさんは99歳の誕生日を迎えましたが…

あるところに、98歳のおばあさんと元気なねこが住んでいました。
ねこは毎日、魚釣りに出かけます。毎日「おばあちゃんも さかなつりに おいでよ」と誘うのですが、
おばあさんは「だって わたしは 98だもの、98の おばあさんが さかなつりを したら にあわないわ」
と言って断ります。今日はおばあさんの99歳の誕生日。ところが、ロウソクを買いに行ったねこが、泣きながらロウソク5本だけを持って帰ってきました…。

評: 空想の世界がどんどん広がる絵本です。

本当は99歳のおばあさんが、お誕生日のロウソクが5本しかなかったために5歳に逆戻り。遠くの野原で花々の芳しい匂いを楽しんだり、川に入って夢中で魚獲りをしたりなんだか夢のようなお話ですが、単なる夢物語では片付けられない何かがある、とても不思議な魅力の絵本です。
前半ではおとなしいおばあさんだったのが、5歳になったとたん、元気で若々しい表情になってしまう変化や、人間の男の子のような表情豊かなねこの存在が、空想の世界をどんどん広げてくれます。柔らかい線のデッサンに、抑えた色調という絵が、ほのぼのとした雰囲気をかもし出している点にも好感が持てます。
よく、「その気になれば…」とか、「気の持ちよう」などと言いますが、気持ちというのはとても大切なのだと、つくづく考えさせられました。そして、私も年をとったら、こんなおじいさんになりたいなと思いました。
お子さんはもちろん、大人も楽しめる絵本です。