絵本紹介絵本紹介

100かいだてのいえ(年少)

100かいだてのいえ(年少)

作 いわいとしお
偕成社

あらすじ: 見上げても上の方はかすんでよく見えないほど高い高い家。なかに入ると・・・

ある日、星を見るのが大好きなトチくんに届いた手紙には、
「僕は100階建ての家のてっぺんに住んでいます。遊びに来て下さい」と書かれていました。
「誰からだろう? 100階建ての家って、おもしろそうだなあ!」トチくんは、さっそく訪ねてみることにしました。
その家は、森の中にありました。見上げても上の方はかすんでよく見えないほど高い高い家です。
なかに入ると、1階から10階にはねずみさんが、11階から20階にはリスさんが住んでいました。この家は、21階から30階にはカエルさん、31階から40階ではテントウムシさん、41階から50階ではへびさんと、10階ごとに違う動物が住んでいるのです。
リスさんにドングリのジュースをご馳走になったり、テントウムシさんに頼まれたお届け物をミツバチの女王様へ届けたり、へびさんの虫歯を抜いてあげたりしながら、上へ上へと階段を上っていくトチくんを、いろいろな動物との楽しい出会いが待っています。
さて、一番上で待っているのは一体誰でしょう?

評:10階ごとに違う動物が住むという100階建ての家。絵を眺めているだけでとても楽しい気分になってきます。

珍しい縦型の絵本。 10階ごとに違う動物が住むという100階建ての家はとてもユニークです。とりわけ、見開き2 ページ分、長さ 62cm をめいっぱい使って描かれる10通りの10階分の部屋は見ごたえ抜群。たとえば、1 階から10 階までのねずみさんの家は、3 階はダイニングルーム、 4 階はキッチン、5 階は書斎、6 階はジム、7 階はバスルームとなっていて、そのなかでねずみさんたちが、食事をしていたり、お皿を洗っていたり、読書や入浴、テレビを見ていたりしています。絵を眺めているだけでとても楽しい気分になってきます。さらに、リスの家では天秤やメジャーでドングリを測っているシーンがあったり、 カエルの家に至っては、雨水を集めて再利用している最新鋭のエコハウスになっていたりと、さまざまな情報がさり気なく盛り込まれているので、お子さんの興味も広がりそう。想像力も刺激されるので、会話はもちろん、絵を見ながらお話づくりを楽しんだり、100階建ての家や自分が住みたい10階分の家などを考えたり描いたりしてみるのもいいと思います。
作者のいわいとしおさんは、世界を舞台に活躍しているメデイアアーチスト。この絵本のアイデアは、お子さんに算数を教えるやりとりの中から生れたそうです。数字に興味を持ち始めたお子さんや、星や月、宇宙に興味のあるお子さんにもぜひ!

【参考】
『ちか100かいだてのいえ』