絵本紹介絵本紹介

おやすみなさい フランシス(年長)

おやすみなさい フランシス(年長)

文 ラッセル・ホーバン 文
絵 ガース・ウイリアムズ
訳 まつおかきょうこ
福音館書店

あらすじ: ”フランシス”は寝る時間になりベットに入ります。ところが・・・

夜 7 時、あなぐまの“フランシス”の寝る時間です。ベットまで、お父さんにおんぶで連れて行ってもらった“フランシス”は、おやすみなさいのキスをして、おもちゃのクマと人形を近くに置いて、ベットに入りました。
ところが、目をつぶってはみたものの、なかなか眠くなりません。 あいうえおの歌を歌っているうちに、部屋の隅にトラがいるような気がしてきて、居間にいる両親に言いに行きます。するとお父さんは、「気立ての良いトラだから大丈夫。帰って眠りなさい」と言いました。
大男が見えて来たり、天井の小さなひび割れから何か出てくるのではないかと思えてきたり…、“フランシス”は、そのたびお父さんに言いに行き、お父さんはそのたびに“フランシス”を安心させて、ベットに戻します。
揺れるカーテンを見ているうちに、何かいるような気がしてきた“フランシス”が行ったとき、両親はもう寝ていました。枕元にそっと立っている“フランシス”の気配に気づいたお父さんは話を聞くと、「カーテンを揺らすのは風の仕事、会社に行くのがお父さんの仕事、そして、お前の仕事は明日の朝元気よく起きて幼稚園へ行くことだ」と話し、「たった今寝に行かなかったら、お尻をぶつぞ!」と叱ります。
部屋に戻った“フランシス”は、ベットの中でいろいろと考えているうちに、ようやく眠りについたのでした。

評:子どもがなかなか寝付けない時の心情がうまく描かれています

どうしたことか目が冴えて全然眠れない夜、布団の中でじっとしているのは、大人でも辛いもの。幼い子なら尚更です。あれやこれやと理由を作っては、両親の元へと出てくる“フランシス”に、自分の姿を重ね合わせるお子さんも多いことでしょう。
私が心から感心したのは、父親の対応です。“フランシス”の口実をしっかりと聞き、否定することも怒ることもなく、冷静に話して聞かせています。“フランシス”の話す有り得ない事を、肯定しながら、対処法を示してやるから、“フランシス”は納得して、渋々ながらもベットヘと戻って行くのです。
丹念に書き込まれたコンテ画からは、クマの毛の柔らかな感触までが伝わってきますし、“フランシス”の表情も、人間の子どものように豊かでかわいらしく仕上がっています。

【参考:続編】
『フランシスのいえで』