JAC幼児教育研究所

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時間を決めて習慣にする

2019年11月28日 09:00

家庭学習をいつどのように行えばよいのか?  よく聞かれる質問ですが、私は家庭学習では最初にしっかりとスケジュールを決めることが何よりも大切だと考えます。
まずは時間ごとに予定が書き込める1週間分のスケジュール表を作る。そして、幼稚園や保育園へ行っている時間、習い事に通う時間、必要であれば習い事の復習や練習をする時間など、すでに決まっているスケジュールを埋める。すると、空いている時間がはっきりしますから、そこに1日少なくとも1時間、できれば2時間の家庭学習の時間を組み込んでいけば良いのです。

さて、その際に重要なのが、それぞれの家庭の事情を充分に考慮し、最も無理なく続けられる時間を選ぶことです。
幼い弟や妹がいる場合には、静かに学習できる環境ではないので、お勉強に集中できる時間を見つけなければなりません。その場合は、下の子が寝ている早朝やお昼寝の時間帯などを選ぶといいでしょう。
場合によっては、「下の子の就寝を遅らせて朝遅くまで寝ているように調整する」、「幼稚園から帰宅後の1〜2時間に弟妹がしっかりと熟睡してくれるよう、午前中は公園に連れ出して思いきり遊ばせる」という具合に、下の子の生活を学習スケジュールに合わせることも考えます。

母親が仕事をしている場合には、仕事に関係なく時間が必ず確保できる朝を選び、早起きしてお勉強をする生活に変えるというのもいいでしょう。朝でも午後でも夜でもいいので、雑音が入ることなく、子どもが集中でき、親も真剣に向き合える時間を探すこと、場合によっては作り出すことが重要です。

また、スケジュールを決めた後は、何があっても絶対に続けること。これも大事です。
体調が悪い日も、少々熱のある日も、5分でも10分でもいいから、必ずその時間にはお勉強をします。なぜなら、幼児には、習慣化したことを守ろうとする習性があるからです。家庭学習も一度習慣にしてしまえば、母親が「今日は遠足でかなり疲れたから、お勉強はお休みにしてもいいわよ」などと言っても、子どもの方で「ちょっとする」などと言って、必ずやろうとするようになるのです。
家庭学習というと、以前、私の教室に来ていた生徒の話を思い出します。
あるとき、伝えたいことがあって電話をしたところ、不在のようでした。緊急に伝えたい用件だったので、夜9時過ぎに再び電話をしたところ、今度は母親が出ました。そこで、「こんなに夜分遅くお電話しまして、申し訳ありません。実は8時過ぎにもお電話をさせていただいたのですが・・・。」と言って用件を伝えようとしたところ、「あ、先ほどのお電話は先生だったのですね。実は、電話が鳴っているのはわかっていたのですが、うちでは8時から9時までは家庭学習の時間なので、電話が鳴っても出ないことにしているのです。大変失礼致しました。」とのことでした。

多くの家庭では、お勉強の時間と決めながらも、途中で電話がかかってくれば出ます。すると「ちょっとこれをやっておきなさい」と問題を与えておいて、母親は世間話をしていることになります。その間、さっさと問題を終えた子どもは遊んでいます。これでは、せっかくのお勉強の時間も、効果は半減―――いえ、台無しです。母親の不徹底な態度によって、子どもは家庭学習を甘く見るようになります。同じ1時間の学習でも、前者と後者では大違いです。

また、子どもがやる気のない素振りを見せたり、露骨にやりたくないという態度を取ったりしたときでも、怒ったり、「そんなにやりたくないなら、辞めてしまいなさい」とか、「今日はもういいから、明日からはちゃんとやるのよ」などと言ったりしてはいけません。
そんなことを言って、さらにその日は本当に終わりにしてしまったら、『やる気がない素振りを見せたり、やりたくない態度を取ったりすれば、お勉強をしなくていいのだ』という悪い前例を作ることになります。

今日がんばれない子が、明日がんばれる保証などどこにもないのです。反対に、子どもがどんな態度を取ろうとも関係なく、怒っている素振りなど微塵も見せないで、予定の時間まで淡々といつも通りに続ける母親は、学習から逃れたい子どもにとっては脅威です。

ところで、やる気のないときに無理強いしても意味がないという意見があります。確かに、学習効果は低いでしょう。しかし、最初の段階での最大目標は、スケジュール通りに学習する習慣づけです。
そのためには、やる気があってもなくても、具合が悪くても、眠くても、何があっても決まったことは守り続ける――つまり学習するのは当然なのだということを子どもに身をもって知らしめること。これが、子どもの自覚を促し、家庭学習を習慣化するために、避けては通れない道なのです。

 

〜次回の掲載は12月5日(木)の予定です〜

キーワード:小学校受験