JAC幼児教育研究所

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母親こそが最高の先生

2019年7月18日 09:00

夏休みを過ごすにあたっ

家庭の事情にもよりますが、多くの場合、家庭学習を担当するのは母親です。
「この子を何としてでも志望校に合格させなければならない」と強く思っている母親は、すでにその子にとって最高の先生になれる素質を持っています。
しかし、子どもが同じ問題を繰り返し間違えたり、期待通りに成績が伸びなかったりすると怒り出し、「何度も同じ問題を間違えて、恥ずかしくないの?」「どうしてこんな簡単な問題が解けないの!」とマイナスの言葉で責め立てて、泣かせたり自信を無くさせたりするケースもあり、その点では最悪の先生になる可能性もあります。


子どもはみんな、母親のことが大好きです。注意されると口答えをしたり、ときには憎らしい口をきいたりするのは、自分は愛されているという安心感があるからです。子どもにとって、母親は唯一無二の絶対的な存在なのです。

当然のことながら、そうした存在である母親の言葉は、子どもに多大な影響を与えます。とりわけ、先入観のない真っ白な状態の幼児の場合は、母親の言葉がストレートに心に入っていきます。「良い子ね」「がんばりやさんね」「すごいわね」「やさしい子ね」と言ってもらえれば、自分はそういう子だと思います。反対に、ため息混じりに「ダメな子ね」「がっかりだわ」「意地悪な子ね」と言われて育った子は、自分はそういう子だと思い込んでしまいます。

母親は、こうした幼児の特性をきちんと理解し、子どもをより良い方向へと導いていかなければなりません。家庭学習をしているときにも、意図的に、「最後まで諦めないすごい子」「お話をよく聞く子」といった良い言葉・プラスの言葉を掛けてやることが重要です。注意をするときでも、決して欠点を指摘して責めたりしないことです。

例えば、飲み込みが悪くてなかなか理解できない子には、「あなたは時間をかけてきちんとやれば、必ずわかる子なのよ。だからがんばろうね。」また、早合点して些細なミスを繰り返す子には、「ちゃんと考えればできる子だから、もっと落ち着いてやろうね。」といった具合に、その子の弱点を感じさせないような言葉をかけ、子ども自身を前向きな気持ちにさせながら、楽しい雰囲気の中で家庭学習を進めることが大切です。

さらに、辛抱することも重要です。プラスの言葉掛けをしても、子どもがすぐには変わるとは限らないからです。もし6年かけてレッテルを貼ってしまったとすれば、そう簡単には剥がれません。でも、良いと思って始めたことは、ぜひ、最後まで継続してください。

夏休みは母親との家庭学習の時間が長くなります。「こんなに教えているのに、なんで出来ないの」と怒り続ける母親と一ヵ月半も向かい合っていたのでは、自信をつけるどころではありません。

一つの目標に向かって家族で努力できる喜びを感じながら、自分がどれだけ子どもにとって重要な存在なのかを自覚して、この夏、最高の先生に!

 

≪コラム1≫ ————————————————————-

お勉強が出来るのに、「自分はお勉強が出来ない」と思っている子は、

やっぱりお勉強の出来ない子になっていく不思議

 

授業中、子どもたちに「自分はよくお勉強が出来ると思う人」と聞くと、3種類の態度が見られる。
まずは、素早くサッと手を上げる子。そういう子は、自分は出来る子だと思っている子だ。実際には、出来るとは言えない成績の子もいるが、それは問題ではない。大事なのは「自分は出来る」と勝手に思い込んでいること。こういう子は授業中も楽しそうにしているし、問題に取り組む態度も良い。日々保護者の方
がプラスの言葉を投げかけている証拠である。そして、こういう子は着実に伸びる。

反対に、ジッとして手を挙げない子もいる。そういう子は、日々の生活の中で「自分はお勉強が出来ない」と思い込まされている子である。本当はかなり高い能力を持っている子でも、こういう子は伸びが悪い。非常に残念に思うところだ。

さらに、後ろで授業を参観している親を振り返る子がいる。自分では確信が持てないから、「手を挙げてもいいの?」と、親にお伺いをたてているわけだ。興味深いのは、ここでの親の反応である。ある親は静かに首を横に振り、手を挙げないようにと指示をする。子どもは当然のことながらシュンとして下を向く。またある親は、目を反らして気づかない振りをする。「自分で考えなさい」の意思表示かもしれないが、子どもにはそうは伝わらない。やっぱりシュンとして下を向く。一方、大きくうなずく親もいる。すると、子どもは嬉しそうにサッと手を挙げる。そういう子は、次からは後ろを振り返ることなく元気に手を挙げられるようになっていくし、成績の方も伸びていく。

ところで、最初から手を上げない子に、「どうしてお勉強が出来ないと思うの?」と聞くと、ほとんどの子が親を振り返る。この態度から、『この人がそう言っているから』という心の声が聞こえて来る。たった4歳、5歳の子が、「自分は出来ない子だ」と思うなんて、悲しすぎる。とても不幸なことである。

幼児期に最も重要なことは、勉強が出来る子にすることではなく、勉強が出来るんだと思い込ませることである。ぜひ、後ろを振り返ることなく、サッと自信たっぷりに手を挙げられる子に育ててあげて欲しい。

 

≪コラム2≫ ————————————————————-

子どもを注意する4つの方法

子どもに何かを注意するときには、次の4通りの言い方がある。
1: 挨拶が出来ると、気持ちがいいわね
2: 挨拶をきちんとしなさい
3: 挨拶が出来ないなんてダメじゃないの
4: 挨拶も出来ないなんて、ダメな子ね

の方法は、今はできていないことを挙げながらも、できていないという事実を指摘して相手を責めるのではなく、できるようになりたいという積極的な気持ちを導き出す言い方で、いわばプラス思考的な注意の仕方。幼児の場合にはこれが一番理想的であり、効果もある。お勉強を進める上でも、「数が数えられるようになれば、お父様のお仕事のお手伝いも出来ちゃうのよ。すごいわね。」とか、「文字が読めるようになれば、絵本も自分で読めるのよ。楽しいわね。」と言って、やる気にさせていくことが好ましく、良い結果をもたらす。

ところが、実際の母親はというと、「数えられるようになりなさい」「読めるようになりなさい」と命令口調で言ってみたり、「数えられないと、小学生になれないのよ」と脅してみたりする。さらにひどいケースになると、「何度やってもできないなんて、あなたの頭はどうなっているの!」とか、「こんなことも出来ないようじゃ、あなたには無理よ。もうやめてしまいなさい!」というように、その子自身を否定する言葉までも平気で口にする。

母親の言葉には魔力がある。たった一言で子どもを劇的に成長させることもできるが、不用意な言葉ですべてをフイにしてしまうこともある。母親は自分の言葉の力をもっと自覚して、プラス思考的な言葉を投げかけ、愛する子どもに、ステキな魔法をかけ続けて欲しいと願う。

 

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〜次回の掲載は8月1日(木)の予定です〜

 

キーワード:小学校受験