考査分野別

ペーパー
雙葉の仲間分けでは「違わないもの」「同じではないもの」を選ぶ、早稲田の話の記憶では「リュックに入れなかったもの」「行かなかった人」を選ぶ、など、発問の意味を正確に捉え、解答欄をくまなく確認する注意深さが問われました。図形は、暁星の「重ね図形」で斜めの線で折った時の模様、成蹊の折れ曲がった紐をある一直線で切断するとどうなるか、などで観察力・思考力が試されています。常識・理科的分野の出題も多く、都市大付属の食物がとれる場所、聖心の卵や氷の浮き沈み、西武文理の電車内のマナーなど、幅広く問われています。(国立教室 西村)

ノンペーパー
今年度の目新しい課題としては、桐朋学園の「試行錯誤を必要とするパズル」や青山の「イライラ棒」等が目を惹きました。一方、「切る」「通す」「結ぶ」といったスタンダードな課題を出す学校も多くみられました。また白百合の「箸使い」、学習院の「シャツの畳みと収納」や早稲田の「配膳」「お盆運び」「机上の整頓と清掃」といった学校生活に直結する課題も印象的でした。これら、思考力・巧緻性・生活能力は「小学校に入って自分でしっかり出来るか」が問われています。学業以前のことだけに、家庭でしっかりとこなせるようにしておく必要があります。(勝どき教室 山田)

体操
基本的な動作に指示を入れた出題が多かったようです。「基本的動作」では5~6歳児として適正な運動能力が、「指示通りに行う」ことからは応用力や調整力が求められます。慶應幼稚舎では途中で向きを変えるギャロップ、学習院や東洋英和ではスキップをしながら手や腕を動かす問題が出題されました。これらはただ体を動かすだけでなく、不規則なリズムを捉え即座に順応する力が必要です。そのためには指示をきちんと聞き取り、見本を細部まで見ること。それが素早く正確な動きに繋がります。まずは基本的な動作を身につけ、様々な動きに対応できるようにしましょう。(体操指導部 北角)

行動観察
多くの学校で合否の最終判断材料として重視されています。製作やゲーム等課題は様々ですが、学級の縮図と思える状況の中で、子どもの自然な素の姿から「協調性」「約束を守る」「嫌なことでも取り組む」等、自分を律する力が観られました。更に今年は、横浜雙葉の「6人で1本のクーピーを使って3つの絵を描き、話作りをする」、早稲田の「5人で1個のボールを1個のフープで引き摺って運ぶ」等、自身のやりたい役割を主張するより周りの子に譲ったり「何やりたい?」とまずは相手に気遣いが出来る、優しい子が評価されたのが印象的です。(国立教室 松村)


面接
雙葉と横浜雙葉では父母子、暁星では父子で行うカードゲームが出題され、家族の関わりが見られました。聖心、早稲田では家庭生活にありがちで対応に迷う場面を設定して保護者や子どもに問いかけ、子育ての姿勢や問題解決力も試されました。様々な角度から「学校が求めるご家庭かどうか」を観察されたのが今年の特徴です。面接のために場当たり的に家庭の方針を用意していたのでは、すぐに見抜かれてしまうでしょう。「日常生活のどの場面をどの様な形で切り取られても、志望校にふさわしい生活を送っている」そんな家庭が求められていると感じました。(あざみ野教室 小川)

神奈川
今年から湘南白百合がB日程を設け、併願できるようになったことで横浜雙葉の受験者数が昨年比2割強増えました。首都圏の学校の中で際立って多い増加数です。来年からは洗足も男女別に2日程で実施すると発表しており、さらに選択肢が広がります。考査内容では、精華では話作りが復活しました。慶應横浜は果物の断面を区別する問題に角度の要素を盛り込みました。横浜雙葉は例年通りでしたが、集団行動観察では子どもの性質や傾向をより引き出せる設定になっていました。いずれの学校も、机上の学習と生活体験から答えを導き出す力が求められました。(横浜元町教室 大岡正宙)

埼玉
埼玉県の私立小学校全てにアフタースクールが整備された効果で、軒並み受験者数が増加しました。都内校の合格発表まで延納できるシステムが周知されたことや、考査内容が都内校の過去問題と類似していることも併願しやすさに拍車をかけています。そのため、見た目の倍率よりも合格ラインが上がっていると感じます。また、埼玉校は集団行動観察を重視する傾向があり、都内校を目指す高学力の子でも、そこが関門となるケースもあります。埼玉校は10月以降に2回目・3回目の入試を行いますが、倍率も合格ラインもアップするので、第1回から受験することをお薦めします。(浦和教室 原)

幼稚園
暁星は問題が高度になりました。ここ3年続いている昔話に関する問題で、3つの話について質問されました。積木も難しくなりました。親子遊びでは、日頃の親子の関わりや、子どもが普段通りに楽しく遊ぶことが出来るかを見られました。面接では、願書の内容について突っ込んで質問し、家庭の考えを確かめようとする傾向が見られます。また、父親に対して、子どもが興味を持っている遊びや子どもとの関わり方、子どもの様子を訊くなど、父としての観点を持っているかが問われました。幼児教室に任せきりにせず、丁寧に躾をしている家庭が求められていると思います。(広尾教室 舟木)
学校別入試概要
- 青山学院初等部
- ノンペーパーだが、個別テストの内容は難しい。記憶・推理・具体物を使った工夫の問題など、他校に類を見ない青山独特のものが出題される。行動観察の考査は3時間と長い。協調性や積極性が求められる。願書(面接資料を含む)と保護者面接が重要。
- 開智小学校
- 第一志望と併願志望で考査項目の内容が異なる。選出方法は基準点をクリアした者の中から各項目の上位者と全項目の合計点の上位者から決まる。第一志望者は開智小独自のBペーパー(立体推理や思考問題)に慣れておく必要がある。個別では言語が重要視される。
- 学習院初等科
- 指示行動では指示の理解力、バランス力と共に他の子と競争のような雰囲気になっても約束を守れるかを問われた。製作が約10年ぶりに復活、道具の扱いや観察力が求められる。個別では記憶・常識・推理などが出題された。回答後に「なぜそう考えるのか」を聞かれることもある。
- 暁星小学校
- 約15分でペーパー8枚。1枚に4~5問。すごろく・記憶・図形・推理・言語など広分野から出題。2次考査では製作にてちぎり、集団にてお話作りが初出題。面接では子どもの答えに対する父母の考えやカードゲームを通してその関わりを見られる。体操は例年通り。
- 国立学園小学校
- テストは授業形式。説明を聞き、練習をしてから問題に取り組む。途中で自分の考えや気持ちを先生に一人ずつ耳元で伝える発言力、表現力も重要。ペーパーの他に思考力と巧緻性を見るパズル問題にも取り組む。運動、集団行動観察も加え、バランスの良い力を問われる。
- 慶應義塾幼稚舎
- 模倣体操は指合わせのみ新出。サーキットは多様なステップと跳・技・走の種目で組まれ最多で4往復。行動観察の3種のゲームでは観察力や協調性が、自由遊びではコミュニケーション力が求められた。絵画製作では想像力・巧緻性・指示の聞き取り能力等総合力が問われたと思われる。
- 慶應義塾横浜初等部
- 1次のペーパーは話の理解力・推理力・常識力。2次の体操はほぼ全日同一内容で運動能力に加え即応力と表現力。製作は日替り課題(女子はパーティー服や動物帽子を作るなど装飾がテーマ。男子はうちわであおいで進む車など科学的な製作)と質疑応答により言語力・課題の理解力が問われた。
-
昭和女子大学附属
昭和小学校 -
自己推薦:親子で行われる行動観察が特徴。製作を通して、家族の関わりや雰囲気、他家族との関わり方が見られる。製作後に他家族に向けて発表がある。自分たちの発表だけでなく、他家族の発表もきちんと聞く姿勢が大切。子どもの考査は模倣ダンスと質疑応答が行われる。
一般:巧緻性、運動能力共に年齢にふさわしい発達であれば充分対応できるが、生活を通して身につけた所作や自分で考え工夫する姿勢が見られている。行動観察では、自分の言葉でしっかり人に伝える力、コミュニケーション能力を培っておきたい。
- 白百合学園小学校
- 面接は答えた内容から発展し質問数はかなり多い。ペーパーの枚数は多く、集中力を求められる。個別は自分の思いやその理由を問われるものが多く、日頃から表現力や発表力をつけておくことが重要。また、行動観察として集団にてブロック積みが初出題された。
- 精華小学校
- 考査全般に渡り、スピード・正確性が求められる。体操は脚力や腕力を見る内容、ペーパーは系列、図形、シール貼りが出題され、個別では音声による話の記憶とお話作りが行われた。課題画では問題の意味を的確にとらえ、その上で発想力のある絵を描かせた。
- 成蹊小学校
- ペーパーは長い話の記憶と図形(2枚)の2問で内容は男女異なる。図形は同じ問題を2枚続けて解くので、練習で理解し集中して粘り強く解く力が必要。行動観察は共同製作とゲーム。楽しい中でルールを守りながらの協調性が求められる。体操は日頃から身近なボールなどに慣れることが必要。面接では学校を理解しているかを問われた。
- 成城学園初等学校
- 1日目:親子面接、2日目:個別、3日目:個別と体操。個別は具体物を使い数・積木・比較・推理・常識・記憶等出題数が多い。社会性・生活力・表現力・感性・感覚も求められる。ペーパー力だけでなく生活体験で身に付けた力と前向きな姿勢が大切。保護者の面接がとても重要。
- 聖心女子学院初等科
- 考査や面接の総合点で合否が決まる実力校。ペーパーは12枚、話の記憶、数、言語、常識、推理思考、運筆など全ての分野から出題されるので総合力が必要。集団行動観察の決め手は協調性。親子面接では母親に状況を設定したロールプレイングがあり日頃の子育ての姿勢が観られた。
- 西武学園文理小学校
- 昨年に引き続き、今年度も受験日が選択できた。全ての行動を評価しているので、親子共々意識してテストに臨むことが大切。ペーパーは全項目で聞き取る力・思考力・語彙力を要する問題が多い。絵画ではなぞる・指示された色で塗る・外国人と遊んでいる絵を描いた。
- 洗足学園小学校
- ペーパー校ながら、行動観察も重視。体操は指示項目が多いのが特徴。聞き取る力と素早く行動に移す力、また丁寧に線をはみださずに動く力が試される。教室移動の際にふざけないことが重要。来年度から男子・女子と分けて入試を実施。神奈川県の中で併願可能になるため、女子の倍率が上がることが必至。
- 田園調布雙葉小学校
- 面接は2部屋の面接を受けることが特徴。ペーパーはそれほど難易度は高くないが、聞きとってミスなく解けることが必要。個別は言語能力・記憶が出題された。行動観察は協調性が見られたが、それ以外にも工作の力も必要と思われる。
- 東京女学館小学校
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AO:学校行事には参加し教育方針、教育内容について十分に理解を深め、各家庭らしい推薦書を書きまとめることが重要。例年子どもの口頭試問では提出した推薦書からの質問も多く、その対策も早めにしておく必要がある。第一志望者はAO型と一般の併願が望ましい。
一般:小集団テストは少人数で個別に近い形態で行われる。ペーパーは数・具体物を使った空間知覚・仲間分け・聞き取りが出題された。絵画では色のイメージの課題画が出題された。体操の対策も必須。母子行動観察は手遊び・身体表現やダンスなどが出題されている。
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東京都市大学
付属小学校 - ペーパーテスト・模倣体操・指示製作・行動観察が行われ、考査中に並行して保護者面接を実施。ペーパーは長い話の記憶・言語・比較・図形・模写等、発問を確実に聞き取りじっくりと考える問題が出題された。各項目平均して得点する事が必要だが特にペーパー力を問われる。
- 桐朋小学校
- 個別テストは比較・分配・話の創作・常識・位置の模倣・折紙展開など、12種類が出題された。今年度もあまり時間をかけずに即答する力が求められた。2次考査は行動観察・製作・運動。行動観察ではルールを守ることや道具を扱うための巧緻性と創意工夫が求められた。
- 東洋英和女学院小学部
- ペーパーの枚数削減はあったが内容は数・言語・図形・推理・運筆等・例年同様。サーキットに生活巧緻性が組み込まれ、箸使い、正座等の躾面、身近な教材を用いての製作、言語表現力を見られた。遊びの中で友達と上手に関われることのできる子どもとしての総合力を見られた。
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日本女子大学附属
豊明小学校 - 行動観察の比重は高く、リーダーシップよりも皆で協力できる事を重視。ペーパー・巧緻性は基本的な問題だが問題数が多いため、根気よく丁寧に行うことが大切。親子面接では事前提出の面接資料から質問される。
- 雙葉小学校
- ペーパーは、範囲が広いため全ての領域について理解を深める必要がある。しっかりと発問の意図を捉える力が求められている。面接では、親子で「しりとり」をする様子を見られており、親子の触れ合いを重視している。志望理由や家庭の教育方針は参考票にしっかり記入することが重要。
- 森村学園初等部
- ペーパーは話の記憶・数・図形・言語・常識など20枚以上。国語・算数・理科社会分野からバランスよく多岐に亘って出題されるため幅広い範囲の準備が必要。絵画製作は巧緻性と指示の聞き取りがポイントとなる。行動観察では協調性、質疑応答では即答力が求められた。
- 横浜雙葉小学校
- 7種類のペーパーや体操、課題製作等を通して総合的な力が試される。お弁当を持参し約6時間の考査の中で途切れない集中力に加え、行動観察では我慢強さ、自由遊びでは節度ある行動が求められる。面接時に親子で取り組む課題が復活した。出願数が二割強増えた。来年度も増加する可能性大。
- 立教小学校
- 国語力は集団でスクリーンに映る絵本を見ながら話を聞いた後個別で内容について質問され、カードを並べたり口頭で回答。行動観察は集団で約束が守れるか。図形・数の思考力はブロック等の具体物を使い基本から応用問題へ発展。運動は身体の発育状況をみる。
- 立教女学院小学校
- ペーパーは問題量が多くスピードも求められる。例年理科的常識・生活常識問題があり、日頃からの体験が必要。スポーツ種目の問題もあり幅広い知識が求められた。個別は毎年必須科目の箸使いと製作が出題された。類似問題の出題頻度が高いので、過去問対策はペーパー同様欠かせない。
- 早稲田実業学校初等部
- ペーパー、生活習慣、巧緻性、絵画製作、運動、行動観察とバランスの良い準備が必要。特に生活習慣では、雑巾を扱ったり食器を洗う等、ご家庭の方針や躾が現れる。どの場面においても「自分ならどうするか」「なぜそう思うのか」と自分で考え行動を起こす力と、それを伝える表現力が重要。