多くの学校で、発問を正確に聞き取り理解した上で答えを導き出す力が求められました。暁星ではシーソーが無い絵を見ながら「リンゴよりバナナの方が重く…」と重さの順を口頭で発問されたり、雙葉では数操作の問題で「◎のカードを引くと3つ進み…」という約束事が口頭で指示されました。図形の出題も例年通り多く、成蹊の「回転図形」、白百合の「記憶とパズル構成」、早稲田の「面積の比較」など多岐にわたります。常識では「花の色が変わるものは」といった机上の知識だけではなく、日常の経験や観察力が求められる問題が目立ちました。(お茶の水教室 松尾)
学校ごとに観たい項目が鮮明になってきています。生活能力を観る課題では、白百合の「傘たたみ」、雙葉の「キャップ外し」、早稲田の「ペットボトルの水を3杯のコップに分ける」などで普段の経験を問われ、思考力を観る課題では、立教や国立学園の「パターンブロック」、青山の「積木の回転」などで考える力が問われました。また、学習院では間違いさがしを口頭で説明させるなど言語力も必要とされる課題でした。受験のテクニックだけに囚われることなく、生活力、思考力、言語力など幅広く身につけていくことが大切でしょう。(勝どき教室 山田)
「誰にでもできる動きを誰よりも上手に行うこと」に焦点を当てている学校が多いようでした。慶應幼稚舎ではケンケン等の基本動作、学習院や早稲田ではスキップ、青山学院ではクマ歩き、立教では全力走が出題され、たった1回のテストに照準を合わせ最高のパフォーマンスが出来るかどうかが求められました。これには運動能力だけでなく、心の強さが必要になり、日頃からの鍛錬で本来の力を100%発揮できるような経験を積んでいくことが重要です。5~6歳児としての運動能力が適正かどうかにも注目していると思われます。(体操指導部 北角)
首都圏私立小44校の内43校で出題され、重要視されています。課題は多岐にわたりますが、共通しているのは「約束を守れる子」「自ら行動できる子」「思いやりのある子」を求めているということです。今年度は特に「協調性だけではなく、他者に目を向け耳を傾け気を配る事ができる子」が求められたようです。慶應幼稚舎の「皆で道具を使ってタワーを作る」や、早稲田の「皆で風船を数多くつく。1回も触らないという子がいないように」などの課題からも「皆の為に何が出来るか」「皆が楽しむには」という姿勢が問われていました。(国立教室 松村)
聖心では父子の会話、暁星では父子のトランプゲームが出題され、その結果をふまえた母親の対応が求められました。早稲田ではある状況を設定してお子様に問いかけ、その問題解決能力も試されました。学校の教育方針への理解や普段の家庭生活の様子から、「学校が求めるご家庭かどうか」を様々な角度から観られたのが今年の面接の特徴です。外面的な家庭の方針を用意するのではなく、日常生活のどの場面をどの様な形で切り取られても志望校にふさわしい生活を送っていることが求められたのだと感じました。(あざみ野教室 小川)
横浜雙葉は例年通りペーパーは広範囲から出題され、面接では親子間で発展問題がありました。精華は昨年に引き続き録音による話の記憶が出題されています。慶應横浜初等部では、ペーパーテストに立方体や円柱など具体物を見ながら答える課題が出題されました。桐蔭は例年通り課題だけではなく態度や躾の面も重要視されました。いずれの学校も表面的なテクニックだけではなく、問題の意味を理解する力、様々な角度から考えることができる力、普段の生活経験から答えを導き出す力が求められました。(横浜元町教室 大岡正宙)
埼玉県内5校は各学校独自の特異性のある問題が減少し、都内校の過去問と類似した問題が多く見られました。そのために都内校と併願する方が増加し受験者数が昨年の2倍近くになる学校もありました。今年度も行動観察テストを重要視した学校が多くありました。埼玉県内5校は、都内校の合格発表まで延納できるシステムが周知されつつあり、目に見える倍率よりも合格ラインが上がっている傾向にあります。10月以降に2回目・3回目の入試もあるので受験校の選択肢も広げられると思います。(浦和教室 原)
学習院では電車の中での様子が描いてある絵を見て「いけない事をしている人を見つけ、その理由を聞かれる」といった公共マナーの出題や、白百合では生活の中で使う物、例えば「お風呂で使う物や怪我をした時に使う物を用意してある物の中から選び持ってくる」というような、日頃ご家庭でどのような経験をさせているか、を問われる出題がありました。若葉会では毎年「スモッグの着脱」や「手を洗う」など子どもだけの考査に加え、面接を通して保護者の方がいかに丁寧に躾をしているかが観られたようです。(広尾教室 舟木)
ノンペーパーだが、個別テストの内容は難しい。記憶・推理・具体物を使った工夫の問題など、他校に類を見ない青山独特のものが出題される。行動観察の考査は3時間と長い。協調性や積極性が求められる。願書と保護者面接が重要。
第一志望と併願志望で考査項目の内容が異なる。選出方法は基準点をクリアした者の中から各項目の上位者と全項目の合計点の上位者から決まる。第一志望者は開智小独自のBペーパー(立体推理や思考問題)に慣れておく必要がある。個別では言語が重要視される。
躾、生活の重要性が増した。個別では言語・同絵発見・話の記憶等が出題され、口頭で答えさせる問題が中心だった。集団では衣服の着脱や巧緻性など、長期的な準備が必要なものが出題された。行動観察では、協調性と共に「走らない」約束を守り続けられるかが鍵となった。
約15分でペーパー8枚。1枚に4~5問。常識は言語・マナー・季節・助数詞・昔話・生活など広分野から出題。2次考査では使用する道具の指示があり家庭より持参。面接では子どもの答えに対する父母の考えやカードゲームを通してその関わりを見られる。体操は例年通り。
テストは授業形式。話を聞き、自分の考えや感想を1人ずつ先生に耳元で伝える。パズルの影を見て、同じになるよう想像しパズルを組む等、巧緻性と思考力も問われる。ペーパーは広範囲で、話を理解する力・思考力が必要とされる問題。集団行動観察の比重が高い。
模擬体操は簡略化されマークの上での屈伸やジャンプ。サーキットは、様々な項目からのスタートと多様なステップの組み合わせが特徴。直線を最多で4往復と運動量が多い。行動観察では他者への配慮、絵画では作品を通じ親子・友達との関わりや気持ちの表現が重視された。
1次はペーパーテスト。話の理解力・推理力・常識力が求められた。2次の体操はほぼ全日同一内容で運動能力に加え即応力と表現力、製作では日替り課題と質疑応答により発想力・言語力・課題の理解力が問われた。その製作を使って遊ぶ行動観察では、なりきる力が鍵となる。
AO:親子で行われる行動観察が特徴。製作を通して、家族の関わりや雰囲気、他家族との関わり方が見られる。製作後に他家族に向けて発表がある。自分たちの発表だけでなく、他家族の発表もきちんと聞く姿勢が大切。子どもの考査は模倣ダンスと質疑応答が行われる。
一般:巧緻性、運動能力共に年齢にふさわしい発達であれば充分対応できるが、生活を通して身につけた所作や自分で考え工夫する姿勢が見られている。行動観察では、自分の言葉でしっかり人に伝える力、コミュニケーション能力を培っておきたい。
面接は答えた内容から発展し質問数はかなり多い。ペーパーの枚数は多く、集中力を求められる。個別は自分の思いやその理由を問われるものが多く、日頃から表現力や発表力をつけておくことが重要。また、ケンステップを使用しての指示行動もあった。行動観察は例年通り。
考査全般に渡り、スピード・正確性が求められる。体操は脚力や腕力を見る内容、ペーパーは数、回転、同絵発見、聞き取り問題が出題された。個別ではお話作りに代わり、音声による話の記憶が行われた。課題画では問題の意味を的確にとらえ、その上で発想力のある絵を描かせた。
ペーパーは長い話の記憶と図形(2枚)の2問で内容は男女異なる。図形は同じ問題を2枚続けて解くので、集中して粘り強く解く力が必要。行動観察は共同製作とゲーム。楽しい中でルールを守りながらの協調性が求められる。体操は日頃の運動量と調整力が問われた。
1日目:親子面接、2日目:個別、3日目:個別と体操。個別は具体物を使い数・積木・比較・推理・常識・記憶等出題数が多い。社会性・生活力・表現力・感性・感覚も求められる。ペーパー力だけでなく生活体験で身に付けた力と前向きな姿勢が大切。保護者の面接がとても重要。
考査や面接の総合点で合否が決まる実力校。ペーパーは近年10 枚、話の記憶、数、言語、常識、図形、推理思考、運筆など全ての分野から出題されるので総合力が必要。集団行動観察の決め手は協調性。親子面接では母子、父子の会話があり日頃の親子関係が問われた。
今年度から受験日を選択できるようになった。全ての行動を評価しているので、親子共々意識してテストに臨むことが大切。ペーパーは全項目で聞き取る力・思考力・語彙力を要する問題が多い。絵画ではなぞる・指示された色で塗る・大きくなったらなりたいものを描いた。
ペーパー校であるが、行動観察も重視されている。また体操は指示項目が多いのが特徴。聞き取る力と素早く行動に移す力、また丁寧に線をはみださずに動く力など緩急をつけて動くことが要求される。また、教室移動の際にふざけないことが重要である。
今年度より1日のみの試験となった。面接は2部屋の面接を受けることが特徴。ペーパーはそれほど難易度は高くないが、聞きとってミスなく解けることが必要。個別は言語能力・記憶が出題された。行動観察は協調性が見られたが、それ以外にも工作の力も必要と思われる。
AO:学校行事には参加し教育方針、教育内容について十分に理解を深め、各家庭らしい推薦書を書きまとめることが重要。例年子どもの口頭試問では提出した推薦書からの質問も多く、その対策も早めにしておく必要がある。第一志望者はAO型と一般の併願が望ましい。
一般:小集団テストは少人数で個別に近い形態で行われる。ペーパーは数・図形・聞き取りが出題された。聞き取りは掲示された選択肢の絵を見て解答を書く形式も出題された。絵画・体操の対策も必須。母子行動観察は近年身体表現やダンスなどが出題されている。
ペーパーテスト・模倣体操・指示製作・行動観察が行われ、考査中に並行して保護者面接を実施。ペーパーは長い話の記憶・言語・比較・図形・模写等、発問を確実に聞き取りじっくりと考える問題が出題された。各項目平均して得点する事が必要だが特にペーパー力を問われる。
個別テストは言語力・数の操作・比較・パズル、時系列、常識など、14種類が出題された。あまり時間をかけずに即答する力が求められた。2次考査は行動観察・製作・運動。行動観察ではルールを守ることや道具を扱うための巧緻性と創意工夫が求められた。
ペーパーの出題は数・言語・常識・左右弁別・位置・推理・運筆・色塗りと多岐にわたる。行動観察では数名のチームでの輪繋ぎや自由遊びで友達との関わり方、巧緻性の発達状況が見られた。体操のボール投げでは運動能力のみならず指示の聞き取り能力も問われた。
①行動観察の比重は高く、リーダーシップよりも皆で協力できる事を重視。②ペーパー・巧緻性は基本的な問題だが問題数が多いため、根気よく丁寧に行うことが大切。③親子面接では事前提出の面接資料から質問される。
ペーパーは、範囲が広いため全ての領域について理解を深める必要がある。特に季節感などの常識分野は「覚え込まされた」知識では通用しない。面接では、子どもに絵を見せて質問し、親子の触れ合いを重視している。面接と面接資料に家族の和が感じられるかが重要。
ペーパーは話の記憶・数・図形・言語・常識など20枚以上。国語・算数・理科社会分野からバランスよく多岐にわたって出題されるため幅広い範囲の準備が必要。絵画製作は巧緻性と指示の聞き取りがポイントとなる。行動観察では協調性、質疑応答では即答力が求められた。
7種類のペーパーや体操、課題製作等を通して総合的な力が試される。お弁当を持参し約6時間の考査の中で途切れない集中力に加え、行動観察では我慢強さ、自由遊びでは節度ある行動が求められる。面接では保護者への質問の後に子どもに派生する形式が見られたのも変化の一つ。
①国語力は集団でスクリーンに映る絵本を見ながら話を聞いた後個別で内容について質問され、カードを並べたり口頭で回答。②行動観察は集団で約束が守れるか。③図形・数の思考力はブロック等の具体物を使い基本から応用問題へ発展。④運動は身体の発育状況をみる。
ペーパーは問題量が多くスピードも求められる。例年理科的常識・生活常識問題があり、日頃からの体験が必要。今年は食事のマナーも出題された。個別は毎年必須科目の箸使いと製作が出題された。類似問題の出題頻度が高いので、過去問対策はペーパー同様欠かせない。
ペーパーから行動観察までバランスの良い準備が必要。特に“生活習慣・巧緻性”では、体験の豊富さや手際の良さで差がつく。今年度は全般に渡り「知識」「聞き取り理解する力」「観察力」に加え、「問題解決能力」(~の為にどうすれば良いと考えるか)を問われた。