JAC幼児教育研究所

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第一志望に合格するために…

2024年3月21日 09:00

学校別授業の必要性

小学校入試の大きな特徴の一つは、内容の多様性です。 受験生全員が小学校で同じ範囲を学んできているという前提で、その習熟度によって合否を判定する中学校以上の入試と違い、これから小学校に入ろうとする幼児には共通の基準がありません。そのため、入試の内容にも、各学校の独自の視点や価値観が如実に現れます。

もっとも、私立の学校というものは、元来、独自の教育理念で成り立っており、すべての学校が独自の視点や価値観を持っているものなのですが、中学・高校・大学と、入試における学業成績の比重が増すに連れ、反比例するように教育思想や建学の精神といったものは薄れていくのです。その意味では、幼稚園・小学校入試は、私立の特徴が最も強く現れる試験と言えるでしょう。

さて、こうした事情から、中学校以上の受験でよく用いられる、「基本を完全にマスターしておけば、どこの学校でも合格する」という考え方は、小学校受験には通用しません。また、中学校以上の場合、志望校の変更は難易度の違いを意味しますが、小学校は違います。ペーパー・体操・絵画工作・集団行動観察・自由遊び・お弁当(コロナ禍以降、実施していない学校が多い)・個別形式での口頭試問など、実に様々な形式で出題される上に、同じ形式でも学校によって傾向が違うため、志望校が変われば準備すべき事柄も大きく変わってくるのです。しかも、評価の基準さえ一定ではありませんから、志望校を見据えた上でなければ良い準備はできません。”満遍なく”という方法は、非常に効率が悪いと言わざるを得ないのです。

そこで重要なのが、それぞれの出題傾向に添った学校別授業という考え方です。限られた時間を効果的に使うためには、志望校に応じた対策は欠かせません。その点、それぞれの学校について、建学の精神や教育思想などを熟知した上で、どのような子を取るために試験が行なわれているのか、入試では何を重視しているのか、といったことをしっかりと分析している塾であれば、おのずと学校別授業を実施しているはずです。

私見になりますが、仮に一年間で準備をするのであれば、最初の半年はある程度総合的に進め、残りの半年で志望校あるいは意中の学校に焦点を合わせた対策を行うというのが一般的なケースでしょう。もちろん、学校によって多少の違いがありますから、志望校によっては、学校別の対策はもっと短期間でも大丈夫という場合もあります。しかし、最後まで、どこを受けても良いようにバランス良くという考え方は、現実的ではありません。それよりも、本当に受かりたい上位校に的を絞り確実に力をつけていく方が、本当に望んでいる結果が得られるものなのです。  

 〜 次回掲載は3月28日(木)の予定です。〜

キーワード:小学校受験